もしも示談書を取り交わさなかったら

グランシエル法律事務所

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

 時々、「本番トラブルを起こしてしまい、お店側から罰金として100万円を請求され、怖かったので支払ってしまったが、その際、示談書を取り交わしていなかったのだが、大丈夫でしょうか」いうようなお問い合わせがあります。

1.なぜ示談書が必要なのか

 弁護士が間に入って示談交渉を行い、示談がまとまったケースでは、よほどのことがない限り、示談書を取り交わします。なぜ示談書を取り交わすのかというと、それは後日の紛争の蒸し返しを防止するためです。

 もし示談書を取り交わさなかったら、示談金を支払った後に、「示談金の支払いなど受けていない」「支払を受けたのはお店に生じた営業損害についてであって、女の子に対する慰謝料については支払を受けていない」などと言われる可能性もゼロではありませんし、民事上の責任と刑事上の責任は別問題なので、場合によっては刑事責任を問われるリスクが残ってしまいます。そうならないためにも、示談書を取り交わすことは非常に重要なのです。

2.実際のトラブル事例

 実際にも、大阪市内の兎我野町にあるラブホテルにデリヘル嬢を呼んだ際、無理やり本番行為をしてしまい、罰金として即日10万円をお店に支払ったが、後日、お店から電話があり、「お前のせいで女の子の出勤日数が減ってしまい、お店にも損害が生じたから、営業損害として追加で50万円払え。」と言われたことから、ご不安になられて弊所にご相談に来られたケースもありました。なお、このケースでは、弊所からお店側に示談書を取り交わすよう交渉し、無事に示談書を取り交わすことに成功しましたが、このようなケースでは示談書を取り交わすことが困難な場合も多々あります。

したがって、お店側から金銭の支払いを要求されてもすぐに支払うべきではありませんが、仮に支払うにしても、支払う前にはしっかりとした示談書を取り交わすべきです。

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