メンズエステでわいせつ行為をしたら逮捕されるのか

きれいな女性が背中あきのドレスを着て座って

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

メンズエステ店でスタッフに対して、わいせつな行為をした場合に、逮捕される可能性があるのでしょうか。また、それはどのような罪に問われるのでしょうか。

今回の記事では、メンズエステでのわいせつな行為について解説していきます。

逮捕を避けるための対処法、注意点についても解説していきますので、今後の行動の参考になれば幸いです。

1 メンズエステとは

⑴メンズエステとは

メンズエステとは、男性向けのエステ、もしくは男性向けのエステティックサロンのことを指し、痩身や脱毛をはじめとした、全身の美容、すなわちエステを目的とした店。リラクゼーションを兼ねていることが多いです。

⑵風俗との違い

メンズエステと風俗は違いが分かりにくいですが、サービス内容や業務形態、禁止されている行為などに明確な違いが存在しています。

メンズエステでは、世紀に触れる行為や抜き行為、本番行為などの性的なサービスを一切行いません。

メンズエステで性的なサービスをしているという話を聞いたことがある場合は、スタッフが別途料金をもらってお小遣いを稼ぐためであったり、男性客が性的なサービスを強要した場合のみで、お店が性的なサービスを提供しているということはありません。

また、メンズエステでは、性的なサービスを行わないので女性スタッフが脱衣することはありません。

2 メンズエステでわいせつ行為をしたら

⑴わいせつな行為

(強制わいせつ)

176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 引用元:刑法 第176

つまり、強制わいせつとは、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行・脅迫を行い、わいせつな行為をすることを言います。(13歳未満の者に対しては、同意の有無にかかわらず、暴行や脅迫がなくとも強制わいせつ罪が成立します。)

女性が被害者となるケースが多いですが、条文状は対象を女性に限定しているわけではありません。

男性に対しても、わいせつな行為を行った場合に強制わいせつ罪が成立する可能性はあります。

わいせつな行為については、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する行為」と定義されていますが、一般的には、肛門性交や口腔性交を含む、強制性交等罪に該当する行為以外の性的な行為と認識しておくと良いでしょう。

わいせつ行為にあたる例としては、陰部に触る、自分の隠部を押し当てる、女性の乳房を弄ぶなどの行為が当てはまります。

つまり、暴行または脅迫を用いて性交以外の性的な行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立します。

強制わいせつ罪の法定刑は、6ヶ月以上10年以下の懲役刑となっています。

罰金刑が定められていないことから、示談などにより、不起訴処分とならなかった場合は、公判請求されてしまい、正式裁判を受けることとなります。

このような観点から、強制わいせつ罪は、数ある犯罪の中でも重い犯罪に分類されます。

さらに、わいせつ行為を遂行するための暴行または脅迫行為によって、被害者が死亡したり、怪我をした場合には、刑法1811項の強制わいせつ致死傷罪が成立します。

強制わいせつ致死傷罪の場合は、無期または3年以上の懲役刑とさらに重くなります。

強制わいせつ罪には罰金刑が規定されていないため、起訴された場合は公開の法廷で裁判を受けることになります。

このように重たい犯罪であるために、盗撮などと比べても逮捕や勾留される可能性は高くなります。

逮捕された場合には、報道によてって世間に知られてしまったり、それにより勤務先を解雇されるリスクも発生します。

⑵本番行為

お店側が提供しているサービスとして、お客さんやスタッフに本番行為を認めてしまうと、売春防止法違反になります。

売春防止法第6条では、本番行為をする女性の仲介やあっせんを行った者には2年以下の懲役または5万円以下の罰金を科すとされています。さらに、第11条では、本番行為がある事実を知った上で場所を提供した者には3年以下の懲役または10万円以下の罰金、これを業とした者には7年以下の懲役または30万円以下の罰金を科しています。

上記のような売春防止法違反を避けるために、基本的に本番行為を禁止しています。

そして、スタッフに本番行為を強要した場合には、刑法第177条の強制性交等罪が成立する可能性があります。

強制性交罪の罰則は、未遂の場合でも5年以上の有期懲役となります。

女性スタッフと合意のもと、本番行為に及んだとしても、後から「無理やり本番行為をされた」と主張されれば、合意の証拠でもない限り不利になってしまいます。

3 メンズエステでのわいせつ行為で逮捕されたら

原則、加害者自身が示談交渉を行う事はできません。

逮捕されていると自分自身は身柄を拘束されていますし、逮捕前であっても、強制わいせつの被害者は、加害者に対して恐怖心を抱いており、謝罪したいという気持ちがあっても接触する事は基本的にできません。

かえって示談に応じてもらえなくなる可能性も出てきます。

弁護士は、依頼されると被害者の連絡先を教えてもらうことができないか捜査機関に連絡をとります。

そして、捜査機関から被害者の方に連絡先を伝えていいか意向を確認します。

被害者が了承すれば、連絡先を教えてもらい、弁護士が示談交渉にあたります。

そして、示談が成立すれば示談書等を捜査機関に提出して、示談が成立したことを報告します。

4 弁護士に依頼するメリット

⑴適正な示談を結べる

問題が起きた際に、裁判によらずに、当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。

自分自身で示談を交渉すれば、問題なく解決できるのではないかとお考えの人もいると思いますが、示談内容・示談金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。

しかし、弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。

そして、弁護士が示談交渉することによって事案や状況によって妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。

もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、改めて示談金の減額や今後の揉め事を防止するために交渉します。

お店との話し合いを重ねて相手の同意のもと示談書を締結するため、再要求される事も防止します。

⑵不当な請求を拒否できる

弁護士に依頼すると、お店側が金銭などを要求してきた際に、その請求が妥当なものか判断して、場合によっては請求を拒否することができます。

事件の当事者はお店ではなく被害者である女性スタッフであり、お店の請求自体が法的には根拠のないケースが多いです。

また、当事者である女性スタッフからの請求があっても、法外な適切ではない慰謝料などを請求された場合には妥当な金額になるように減額を交渉します。

⑶刑事事件になるのを防げる

担当弁護士がご本人に代わってお店側や従業員などと示談交渉を行ったり、警察に働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。

そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。

もしお店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。

万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急に示談交渉を成立してもらうことで、送検もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。

警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。

そのために、すでに示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が非常に高くなります。

起訴されてしまった場合、身体拘束を受けているのであれば、保釈請求を行いますし、執行猶予付き判決を獲得するために示談交渉を行う必要があります。

また、刑事裁判においても、被害者の感情というのは大きく考慮されます。したがって、示談が成立していると分かれば、実刑で刑務所に行かねばならないところが執行猶予になり刑務所に行かずに済んだり、実刑となっても刑期が短くなって刑務所に入る年数が少なくなるケースが多いです。

⑷家族や勤務先にバレない

家族や勤務先にトラブルについて、知られてしまうと信用を落としかねません。

それまでのお互いの関係性が崩壊してしまう可能性もあると思います。

しかし、早い段階で弁護士に依頼すれば、代理人としてお店や女性スタッフに対して、本人やその家族、会社に連絡しないように求めます。

それに違反した場合の違約金や処罰を示談書に盛り込むことによって、外部に漏らすことを防ぎます。

自分自身で警告するよりも弁護士の方が抑止力が高いですし、お店によっては弁護士との交渉ごとに慣れている場合もありますので、訴えられるような行動は取らない可能性が高くなります。

そのため、弁護士に依頼することでお店との交渉を代わりにしてくれ家族や勤務先にバレずに解決できる可能性が高くなります。

5 まとめ

以上で、メンズエステでわいせつな行為をしてしまった場合について解説してきました。

わいせつ事件での重要なことはできるだけ早く弁護士に示談交渉を依頼することです。

わいせつ事件というのは特別繊細な被害者対応が求められます。

被害者は精神的に大きなダメージを負っていますので、その心情に最大限の配慮をする必要があります。

加害者が直接謝罪したいという気持ちがあったとしても、かえって示談に応じてもらえなくなる可能性が出てきます。

そのため、示談交渉は弁護士に依頼することが最適だといえます。

わいせつ事件でお困りごとがございましたら、ぜひ弁護士にご相談ください。

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