注意!パパ活は犯罪になるかもしれない
- コラム
パパ活とは、一般的に女性が男性と食事やデートなどをする対価として、金銭を受け入れる事を言います。男性が金銭的援助と称して、女性を売春することについて、援助交際という言葉が使われていましたが、パパ活とは性行為を伴わないものを意味して使われることが多いです。
今回の記事では、パパ活がどのようなケースで犯罪に該当するのかを解説していきます。
1 パパ活とは
パパ活がどのようなものを指すかについては、明確な定義はされていませんが、一般的には女性が年上の男性から謝礼を受け取り、食事に行ったり、デートに行ったりする事を意味することが多いです。
パパ活においては、援助交際と異なり性交渉を行うことが前提ではありません。
2 パパ活は犯罪になるのか
近年、パパ活が若い女性たちの間で多く広まっていますが、トラブルへと発展することもあります。
⑴犯罪にならないケース
基本的には、女性の年齢が18歳を超えていた場合において、食事や肉体関係を伴わないデートを行なった程度であれば、特に犯罪が成立することはありません。
仮に金銭のやり取りがあった場合にでも、売春防止法に違反する可能性はありますが、違反した場合の罰則規定は定められていないため、18歳以上の女性との間で売春行為を行ったとしても、処罰を受けることはありません。
⑵犯罪になるケース
女性が18歳未満の場合
(未成年者略取及び誘拐)
第224条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
まず、18歳未満の女性を食事やショッピングを理由に連れ回した場合、刑法224条未成年誘拐罪が成立する可能性があります。
「誘拐」とは、欺罔や誘惑を手段として、他人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置くことを指します。
食事やショッピング、お小遣いをあげる事を条件にパパ活をしてもらうことは、18歳未満の女性を誘惑するものであるといえます。
これにより、誘惑により18歳未満の女性を生活閑居王から訃報に離脱させ、男性の事実的支配下に置いたものとされ、未成年誘拐罪が成立します。
未成年誘拐罪が成立する場合、3ヶ月以上7年以下の懲役刑が科される事になります。
この未成年誘拐罪には罰金刑の定めがありません。
そのため、検察官が起訴する場合、略式命令による罰金刑が選択されるということはなく、後半請求がなされて、懲役刑を言い渡されるという事になります。
また、女性の方からパパ活を持ちかけてきた場合など、女性が同意していれば問題はないとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、未成年誘拐罪は、被害者である未成年の自由や生命・身体の安全のみならず、親権者の監視権をも保護する目的で定められています。
そのため、未成年者本人がパパ活に同意して男性と行動を共にしていたとしても、両親の監護権を侵害したとして、未成年誘拐罪が成立する可能性があるといえます。
児童買春・青少年健全育成条例違反
食事などにとどまらずに、18歳未満の女性に金銭を対価として支払い、性的な行為を行った場合には、児童買春罪が成立する可能性があります。
また、食事をご馳走したり、高価なものをプレゼントしただけずに過ぎず、性行為を行うことへの対価を支払っていたわけではない場合であっても、未成年と性行為を行った場合、各都道府県の青少年健全育成条例違反が成立する可能性があります。
女性が18歳以上であった場合
女性が既に18歳を超えていた場合は、基本的に食事や肉体関係を伴わないデートであれば、犯罪が成立することはありません。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
しかし、女性が拒否しているにも関わらず、無理やり性行為やわいせつな行為を行った場合は、強制性交等罪・強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制性交等罪、強制わいせつ罪についても、罰金刑の定めはありません。そのため、起訴される場合は必ず公判請求となり、懲役刑が言い渡されます。
さらに、「暴行又は脅迫」を用いていないなど、強制わいせつとまでは評価できない場合であっても、衣服の上から体を触ったりした場合、各都道府県の迷惑行為防止条例に違反する可能性もあります。
3 パパ活のトラブルを解決するためには
⑴女性本人との示談
性的な事件や怪我を負わせた事件に関しては、被害者である女性が警察に相談する可能性が高く、警察は加害者が被害者に連絡をしたり接触する事を禁止する事になると考えられますし、被害者は恐怖心を抱いていますので、謝罪の気持ちがあったとしても加害者が直接接触することは望ましくありません。
かえって、示談に応じてもらえない可能性が出てきます。
加害者である男性ができることとしては、弁護士に依頼して、弁護士が被害者と連絡を取り、示談を成立させてもらうことが考えられます。
⑵未成年の両親との示談
被害者が未成年である場合は、両親との間で示談交渉を行う事になります。
トラブルの事実を知った両親は、さまざまな感情を抱えていることが予想され、示談交渉が難航すると考えられますので、刑事事件に強い弁護士に依頼することが重要となります。
4 弁護士による弁護活動
⑴事実確認
弁護士はまず、本人または家族から事実確認を行います。
いつ、誰と、どこで、どのような問題が起きたのか具体的に詳細を家族または本人から確認をとります。
また、すでに書類に署名をしたり、金銭を支払ってしまっているのか、警察に通報されたのかも情報を集めます。
弁護士は守秘義務が課せられているので、情報漏洩の心配はないため、嘘偽りなく事実を話す必要があります。
恥ずかしいことや不利になり得る情報を伝えないでいると、弁護士が適切な弁護活動を行うことができない場合があります。
⑵お店に連絡をする
紛争の代理人として、介入することになった旨や本人、家族、勤務先への連絡を禁止するという警告、違反した場合には法的措置を取る旨を伝えます。
⑶示談交渉
これまでの事実確認に基づいて、示談交渉を行います
弁護士はお互いが納得できる解決案を探して、提案します。
示談金については、状況などの相場によりますが、お店側の請求が適切ではない場合には、減額の交渉を行います。
今後の問題行為を防止するためにも、お互いが納得できるまで徹底的に話し合いを行うことが必要です。
⑷示談書の作成
お互いの同意が得ることができれば、示談書として書類に明記して、お互いに署名・捺印を行います。
示談書に明記する内容の中でも、お互いに接触や連絡をしないことを約束する接触禁止条項、示談書で定めた以外の債権債務が存在しないことを確認する清算条項、問題内容の事実をお互いに第三者に口外しないことを約束する守秘義務条項は特に重要です。
5 まとめ
以上で、パパ活のトラブルについて解説してきました。
パパ活はその内容によっては犯罪行為に該当する可能性もあります。
このようなことでお困りでしたら、是非弁護士にご相談ください。
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