知識!風俗で不同意わいせつ罪にあたる行為とは

暴力のイメージ

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

不同意わいせつ罪はデリヘルなどの風俗を利用した際に、利用者が風俗嬢と本番行為に及んでしまうケースがあるようです。本番行為は、風俗嬢の同意の上であったとしても、売春防止法に違反する行為です。

客側が売春防止法違反で罰せられることはありませんが、違法行為であるということは認識しておくべきです。

今回の記事では、風俗で風俗嬢に対して、無理やり本番行為に及んだ場合の法的な問題について、解説していきます。

1 不同意わいせつ罪とは

不同意わいせつ罪(6ヶ月10年以下の懲役)とは、同意しない意思を形成、表明または全うすることが困難な状態にさせること、或いは相手がそのような状態にあることに乗じること

1、暴力又は脅迫

2、心身の障害

3、アルコール又は薬物

4、睡眠その他の意識不明瞭

5、同意しない意思を形成、表明または全うするいとまの不存在

6、予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕

7、虐待に起因する心理的反応

8、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮

ケース1

キャストの意思とは関係なく、素股中に故意に性器を挿入させた場合

ケース2

脅しとなる言動で本番行為を行なった場合

わいせつな行為ではないと誤信させたり、人違いをさせること、又は相手がそのような誤信をしていることに乗じること

ケース1

「他のキャストは本番をやってくれてる」などを伝え本番行為した場合

※出典 法務省 性犯罪関係の法改正等

2 強制性交等罪について

⑴強制性交等罪の構成要件

「暴行」とは、人の身体に対して有茎力を行使すること、「脅迫」とは、人の生命、身体などに害を与えると伝えることです。

被害者の年齢・精神状態・健康状態、犯行の時刻や場所、容態等を考慮して、被害者の犯行を著しく困難ならしめる程度かどうかを判断されます。

性交等とは、性交、肛門性交、口腔性交のことを指します。男性のみならず、女性が主体となって他の男性にこれらの行為をさせた場合、男性が男性にこれらの行為をした場合が処罰の対象となります。

⑵ 強制性交等罪の罰則

強制性交等罪の罰則は5年以上の有期懲役とされており、非常に重い罪です。有期懲役の上限は20年です。

なお、執行猶予付き判決を受けるには3年以下の懲役を受けなければなりません。強制性交等罪の懲役の下限は5年ですから、基本的に執行猶予付き判決を受けられない、つまり実刑になります。

3 風俗でのレイプ

上で説明したようにレイプが強制性交等罪として処罰される条件としては、「暴行または脅迫を用いて、性交等をする」ということです。

これは風俗にて、女性スタッフが拒否しているのにも関わらず、無理やり本番行為をすることも同じく強制性交等罪が成立します。

風俗で性的サービスを提供しているのだからと何でも許されるわけではありません。

風俗にてレイプをしてしまった人が成立する可能性のある強制性交等罪のケースを説明します。

 強制性交等未遂

刑法 第百八十条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。

強制性交等と同様に暴行や脅迫を用いて無理やり性行為をしようとしたが、挿入に吐いたらなかったというケースでは、強制性交等未遂が成立します。

⑵強制わいせつ罪

(強制わいせつ)

176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 引用元:刑法 第176

つまり、強制わいせつとは、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行・脅迫を行い、わいせつな行為をすることを言います。(13歳未満の者に対しては、同意の有無にかかわらず、暴行や脅迫がなくとも強制わいせつ罪が成立します。)

女性が被害者となるケースが多いですが、条文状は対象を女性に限定しているわけではありません。

男性に対しても、わいせつな行為を行った場合に強制わいせつ罪が成立する可能性はあります。

4 レイプによりトラブルになった際の注意点

風俗にて、お客さんが女性スタッフにレイプをしてしまった場合、その際には裏の男性スタッフが怯えさせるような対応で、恐喝や脅迫をしてくるケースもあります。

そのケースで、本番行為や盗撮などこちらに問題がある場合には、警察に相談するのも抵抗があるかもしれません。

ここではそういったケースでの対処法について解説します。

⑴その場でお金を払わない

風俗トラブルでは、お店のスタッフから罰金や慰謝料とし高額な金銭を支払うように要求してくることがありますが、脅されてもその場で支払わないようにしましょう。

お店や女性スタッフが要求する罰金や慰謝料が法的に支払う義務があるのか、その金額は妥当なものかを判断する必要があります。

また、その場でお金を支払って、それで解決になればいいですが、その後も繰り返し請求をされるケースがあります。

さらに、法外な金額であったとしても一度支払ったお金を取り返すことは時間も手間もかかります。

「払わなければ殺すぞ」のような直接的な言葉を使用すると恐喝罪になってしまうということを危惧して、別の形でお客さんにプレッシャーをかけてくるかもしれませんが、その後に繰り返し請求されないためにも、最初の段階で払わないようにしましょう。

⑵落ち着いて対応する

自分が問題を起こした場合に、強面の男性スタッフにプレッシャーをかけられれば、冷静に判断し対応することは難しくなるでしょう。

しかし、風俗店や女性スタッフが事実とは異なる主張をしている場合もあります。

本番トラブルでは、女性スタッフの同意を得ていたはずだったのに、女性スタッフの主張が一変して、無理やり本番行為をされたと主張してくるケースもあります。

本番行為については、暴行をしたり、力づくで抑えた上で及んだというレベルでなければ犯罪にはなりません。

問題が発生した過程は明確にしておくべきですので、事実と異なる主張をされても認めてしまうと、後から覆すことが難しくなってしまいます。

お店や女性スタッフの主張が事実と異なる場合には、事実無根であるということを伝えるべきです。

威圧的な態度で、プレッシャーをかけられていると反論することが難しいと思いますが、適切な対応を取れば、穏便に解決できることもありますので、冷静に落ち着いて、対応しましょう。

⑶録音や記録を残しておく

風俗店・女性スタッフとの会話を録音などして証拠を残しておきましょう。

後から弁護士や警察に相談する際にも証拠があった方が有利ですので、連絡があった場合や再びお店に呼び出された場合にもスマートフォンなどで録音しておくと解決までスムーズです。

録音が難しい状況では、言われた言葉をできるだけ忠実にメモしておくと有効です。

風俗店との会話の内容や、相手が言った言葉等によって、恐喝や脅迫の証拠として活用できる可能性があります。

直接的な言葉を使うのは避けているかもしれませんが、内容や状況から脅迫罪や恐喝罪として成立する可能性があります。

また、お店の人から暴行を受けた場合には、写真を撮って証拠を残し、多少の傷でも病院で医者に診てもらい、診断書を書いてもらうことが重要です。

表面上には見えない傷でも、首や肩を痛めたといった診断でも威圧的に脅された精神的ショックで精神的にダメージを受けた場合でも構いません。

⑷警察や弁護士に相談する

風俗店から恐喝や脅迫を受けた場合には、迅速に警察や弁護士に相談することが重要です。

レイプに及んでしまったというお客さんに問題がある場合には、弁護士に相談することによって、迷惑防止条例違反等のリスクを避けることができますが、お客さんに何の問題がなくレイプされたと事実無根の疑いをかけられている場合、警察に相談すれば、恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があります。

穏便に解決することを目的とするならば、弁護士に介入してもらい、示談交渉をしてもらうのがいいと言えます。

5 レイプで逮捕されると

⑴逮捕

レイプによって、女性スタッフや風俗店に通報され、警察官に逮捕された場合には、被疑者として身柄を拘束され、取り調べを受けることになります。

取り調べで、事件の状況や事実確認の聞き取りは行われます。

その後、逮捕から48時間以内に、事件の被疑者・書類・証拠物を検察官に送致します。

逮捕期間中の被疑者との面会は、弁護士以外は認められません。

⑵検察で取り調べ

検察官に事件が送致されると、事件が検察官のもとに来てから24時間以内に、検察官が勾留請求をするか釈放するかを決めることになります。

勾留請求をされた場合、裁判官から被疑者に対して事件の認否等について質問する機会が設けられ(勾留質問)、その上で裁判官が被疑者を勾留するか否かの判断をします。

現状として、検察官が勾留請求をした場合、ほとんどの事件で勾留が認められています。

特に強制性交等などの風俗トラブル事件の場合には、被害者との接触の危険を避けるため、勾留が認められやすい傾向にあります。

⑶勾留期間

勾留期間は10日間ですが、その後延長が認められるとさらに10日間勾留が継続するので、起訴前は逮捕されてから最長で23日間の身体拘束を受けることになります。

⑷検察官による終局処分

検察官は、逮捕後23日間の勾留期間が満期に起訴・不起訴を判断します。

罰金刑が定められている犯罪で、事実を認めていて軽微な事件である場合には、罰金刑を求刑する略式起訴が行われる可能性が高いですが、一方、懲役刑を求刑する場合には、公判請求が行われます。

なお、強制性交等罪は、最も重い性犯罪であり、罰金刑が定められていないため、終局処分までの間に示談で告訴が取り下げられない限り、公判請求となります。

検察官によって起訴された場合は、刑事事件として裁判手続きが行われ、被疑者は被告人となります。

不起訴になると刑事事件にはならず、身柄を解放されて、再逮捕されるかのせいは低くなります。

⑸公判

刑事裁判は、検察官の基礎から12ヶ月後に公開の法廷で行われます。

公判では、検察弁護人それぞれの証拠をもとに裁判官が判決を下します。

有罪または無罪の言い渡しになり、有罪の場合は刑期などが言い渡されます。また、執行猶予が付されるケースもあります。

執行猶予とは、被告人の状況を踏まえ社会内での更生が期待できる場合に、刑の執行を猶予する制度です。

執行猶予付きの懲役刑が言い渡されていた場合において、罪を犯すことなく執行猶予の期間が経過し、刑の執行を免除されれば、刑務所に行く必要はなくなります。

6 まとめ

以上で、風俗でのレイプについて解説しました。

レイプ行為は、強制性交等罪が成立する大変思い犯罪行為です。

そのため、風俗でレイプにあたる行為をしてしまった場合には、すぐに弁護士に相談することが重要です。

弁護士に依頼して、示談を成立させれば逮捕や起訴を免れたり、刑罰が軽くなる可能性が高くなります。

風俗トラブルでお困りごとがございましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。

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