トラブルを弁護士に依頼した場合のメリット・デメリット

グランシエル法律事務所

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

風俗店を利用したお客さんと風俗店の間で、トラブルに発展するケースがあります。

風俗にて、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、弁護士に相談することが重要です。

今回の記事では、弁護士に依頼することのメリットやデメリットを解説していきます。

1 風俗でのトラブル弁護活動

⑴事実確認

弁護士はまず、本人又は家族から事実確認を行います。

いつ、誰と、どこで、どのような、トラブルが起きたのか具体的に詳細を家族または本人から確認をとります。

また、すでに書類に署名したり、金銭を支払ってしまっているのか、警察に通報されたのかも情報を集めます。

弁護士は守秘義務が課せられているので、情報漏洩の心配はないため、嘘偽りなく事実を話す必要があります。

恥ずかしいことや不利になり得る情報を伝えないでいると、弁護士が適切な弁護活動を行うことができない場合があります。

⑵お店に連絡をする

トラブルの代理人として、介入することになった旨や本人、家族、勤務先への連絡を禁止するという警告、違反した場合には法的措置を取る旨を伝えます。

⑶示談交渉

これまでの事実確認に基づいて、示談交渉を行います。

弁護士はお互いが納得できる解決案を探して、提案します。

示談金については、状況などの相場にもよりますが、お店側の請求が適切ではない場合には、減額の交渉を行います。

今後のトラブルを防止するためにも、お互いが納得できるまで徹底的に話し合いを行うことが必要です。

⑷示談書の作成

お互いの同意が得ることができれば、示談書として書類に明記して、お互いに署名·捺印を行います。

示談書に明記する内容の中でも、お互いに接触や連絡しないことを約束する接触禁止条項、示談書で定めた以外の債権債務が存在しないことを確認する精算条項、トラブルの事実をお互いに第三者に口外しないことを約束する守秘義務事項は特に重要です。

2 風俗禁止行為

⑴本番行為

まず、前提として、多くの風俗店ではお客さん、そして風俗嬢に本番行為を禁止しています。

なぜかというと、風俗店側が提供しているサービスとして、お客さんや風俗嬢に本番行為を認めてしまうと、売春防止法違反になるためです。

売春防止法第6条では、本番行為をする女性の仲介やあっせんをおこなったものには2年以下の懲役又は5万円以下の罰金を課すとされています。さらに、第11条では本番行為がある事実を知った上で場所を提供したものには、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金、これを業としたものには7年以下の懲役または30万円以下の罰金を科しています。

上記のような売春防止法違反を避けるために、基本的に風俗店側はお客さんや風俗嬢に本番行為を禁止しています。

そして、風俗店で風俗嬢に本番行為を強要した場合には、刑法第177条の強制性交等罪が成立する可能性があります。

強制性交罪の罰則は、未遂の場合でも5年以上の有期懲役となります。

このように、風俗店で無理やり本番行為を行った場合には、風俗嬢が本番行為を強要されたと主張すれば、強制性交等罪が成立する可能性があります。

女性スタッフと合意のもと、本番行為に及んだとしても、後から「無理やり本番行為をされた」と主張されれば、合意の証拠でもない限り不利になってしまいます。

⑵盗撮

風俗店で盗撮行為をしてしまった場合は、軽犯罪法違反、さらに都道府県によっては迷惑防止条例違反になる可能性があります。

軽犯罪法第123号では、「人が通常衣服をつけないでいるような場所を密かに覗き見」した行為に該当するとされており、軽犯罪法違反による刑罰は、1日以上30日未満の期間拘留されるか、1000円以上1万円未満の科料が科されます。

迷惑防止条例違反では、各都道府県によって差がありますが、大阪での迷惑防止条例違反の場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されることになっています。

また再犯を繰り返し、常習性が認められた場合は、厳罰化されて、盗撮行為については2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となり、カメラを向けたり、設置する行為については、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。

18歳未満との売春

風俗嬢が18歳未満であると知った上でサービスを利用してしまうと、児童売春防止法違反となる可能性があります。

児童売春防止法では、18歳未満の児童売春を禁止しており、違反すると5年以下の懲役または、300万円以下の罰金となります。

しかし、女性が18歳未満であると知っていた場合に限ります。そのため、事前に知らされていない限り、お店のHPなどには18歳未満だという記載はないはずなので、知らないことがほとんどだと思います。

3 弁護士に依頼するメリット

風俗トラブルを起こしてしまったら、決して自分自身で解決しようと焦らずに、風俗トラブルに強い弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼するメリットを説明していきます。

⑴お店側とのやりとりを任せられる

風俗トラブルを起こしてしまうと、何度も連絡がきたり、自宅に押しかけてこられたりすることがあります。

そうなると私生活への悪影響も及ぼしますし、見た目の怖い男性から恐喝のような発言をされるとかなり恐怖心を感じて、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。

このようなやりとりも弁護士へ依頼すれば、直接自分自身でする必要がなくなり、お店側とのやりとりを全て弁護士に任せることができます。

恐怖心や後ろめたさからお店側からの連絡を無視し続けていても、精神的にストレスを与えますし、時間が経つにつれ、穏便に解決することが難しくなります。

⑵適正な示談を結べる

トラブルが起きた際に、裁判によらずに、当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。

自分自身で示談を交渉すれば、トラブルなく解決できるのではないかとお考えの人もいると思いますが、示談内容·示談金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。

しかし、風俗トラブルを弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。

そして、弁護士が示談交渉することによってトラブルの事案や状況によって妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。

もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、改めて示談金の減額や今後のトラブルを防止するために交渉します。

お店との話し合いを重ねて相手の同意のもと示談書を締結するため、再要求される事も防止します。

⑶不当な請求を拒否できる

弁護士に依頼すると、風俗トラブルでお店側が金銭などを要求してきた際に、その請求が妥当なものか判断して、場合によっては請求を拒否することができます。

風俗トラブルの当事者はお店ではなく被害者である女性スタッフであり、お店の請求自体が法的には根拠のないケースが多いです。

また、当事者である女性スタッフからの請求があっても、法外な適切ではない慰謝料などを請求された場合には妥当な金額になるように減額を交渉します。

⑷刑事事件になるのを防げる

担当弁護士がご本人に代わってお店側や従業員などと示談交渉を行ったり、煩雑になりがちな警察に働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。

そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。

もしお店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。

万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急に示談交渉を成立してもらうことで、送検もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。

警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。

そのために、すでに示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が非常に高くなります。

また、刑事裁判においても、被害者の感情というのは大きく考慮されます。したがって、示談が成立していると分かれば、実刑で刑務所に行かねばならないところが執行猶予になり刑務所に行かずに済んだり、実刑となっても刑期が短くなって刑務所に入る年数が少なくなるケースが多いです。

⑸家族や勤務先にバレない

家族や勤務先に風俗トラブルについて、知られてしまうと信用を落としかねません。

それまでのお互いの関係性が崩壊してしまう可能性もあると思います。

しかし、早い段階で弁護士に依頼すれば、代理人としてお店や女性スタッフに対して、本人やその家族、会社に連絡しないように求めます。

それに違反した場合の違約金や処罰を示談書に盛り込むことによって、外部に漏らすことを防ぎます。

自分自身で警告するよりも弁護士の方が抑止力が高いですし、お店によっては弁護士との交渉ごとに慣れている場合もありますので、訴えられるような行動は取らない可能性が高くなります。

そのため、弁護士に依頼することでお店との交渉を代わりにしてくれ家族や勤務先にバレずに解決できる可能性が高くなります。

⑹個人情報の流出が防げる

風俗トラブルで示談交渉する際に、弁護士が代理人として締結する示談書には、お店側が得た個人情報の破棄を要求した上で、悪用や流出を禁止する内容を盛り込みます。

お店を利用した段階で、名前や電話番号などの個人情報がお店側に渡っている事もあると思いますし、免許証や会社の名刺などもお店に要求され、情報が渡っているケースがあります。

これらの返却やコピーを破棄させるようにするため、個人情報の流出を防止できます。

この契約に違反して、お店側が個人情報を流出すれば、名誉毀損などで弁護士が訴えることができます。

この旨をお店側が理解するまで弁護士が説明し、今後のトラブルがないように徹底します。

4 弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼すれば、当然弁護士費用がかかり、決して安くはありません。

弊所では、決して安くない金額を支払っても価値があると思っていただけるようなサービスを提供し続けれるように活動しております。

以下で、弁護士費用の相場について解説していきます。

風俗トラブルにおいては、弁護士による被害者や風俗店との示談交渉などの弁護活動はとても重要です。

しかし、弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用は、項目も多く事件に合わせて内容も様々なので、分かりづらい点が多いです。

そこで、その弁護士費用の内訳や相場について解説していきます。

風俗トラブルの解決を弁護士に依頼した場合の費用はどのような解決を目指すのかによって増減します。

一般的に必要となる費用は事件に介入する際の「着手金」と、事件が終わった際の成功報酬としての「報酬金」です。

⑴示談交渉のみの場合

風俗トラブルの弁護士費用としては、刑事事件化していない場合は着手金が20万程度、報酬金が2030万程度で合わせて、4060万円程度です。

このほかにも、示談書の作成費用や実費などの料金が加算されるほか、示談金の用意も必要となります。

⑵刑事事件に発展している場合

刑事事件化している場合は、一般的に着手金が2050万程度、報酬金は2060万程度で、合わせて40110万程度が相場です。

風俗店側が警察に被害届や告訴状を提出して逮捕されてしまったケースでは、示談交渉のみよりも高額になるケースが多いです。

事件お内容によってそれぞれの金額は様々で、執行猶予の獲得や不起訴処分など、一定の成果を挙げられれば、報酬金がさらに高額になることもあります。

5 弁護士費用の内訳 

⑴相談料

弁護士に依頼する前に、風俗トラブルの内容を弁護士に相談する際の費用を相談料と呼びます。

各弁護士事務所によって相談方法は違いがあり、面談や電話やメール、LINE等、最近ではオンラインでの相談も可能となっている事務所もあるようです。

また、最近では電話での相談が無料であったり初回相談を無料として、相談しやすい設定にしている事務所も増えています。

相場としては、1時間あたり1万円としている事務所が多いように見受けられます。

時間あたりの相談料となっていることが多いので、端的に伝えることができるように事前に相談内容などを整理して準備しておくことがおすすめです。

⑵着手金

弁護士に依頼する段階で頭金として支払う費用を着手金と呼びます。

着手金は、事件の結果には関係ないがないため、依頼者の望む結果にならなかったとしても返金されることはなく、成功報酬の一部ということでもありません。

また、示談交渉や保釈請求などの際に、別途着手金が必要になる場合があります。

否認事件の場合は、被疑者が容疑または容疑の一部を否認しているため、検察側の立証を覆すための高度な弁護活動が必要となるため、犯行を認めている自白事件と比べると着手金が高額になる場合があります。

⑶報酬金

風俗トラブルでは、被害者や風俗店との示談が成立した場合や不起訴や執行猶予が得られた場合に弁護活動が成功した時の報酬金として支払うことになります。

さらに、高度な弁護活動が必要なトラブルで無罪が得られたケースでは、高額な報酬金が発生する可能性があります。

6 まとめ

以上で、弁護士に依頼するメリットとデメリットを解説しました。

風俗トラブルに巻き込まれてしまったら、弁護士に相談することで、逮捕や起訴されたりすることを回避でき、刑罰が軽くなることも期待できます。

風俗トラブルでお困りごとがございましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。

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