店で怪我をさせてしまった場合
- コラム
風俗店を利用した際に、利用者と風俗店の間でトラブルになるケースが多くあります。
その中で、性的サービス中に女性スタッフを怪我させてしまった場合は、罪に問われますかという相談もあります。
このようなケースでは、風俗店側から損害賠償など金銭を請求されており、脅されている可能性があります。
そこで、今回の記事では、風俗で怪我させた場合はどのような罪に問われるのか、どのように対処すべきかについて解説していきます。
1 風俗で女性を怪我させたら
⑴過失傷害罪
刑法第209条
1.過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
2.前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
過失は、わざとではなく、誤ってという意味です。
怪我をさせるというつもりはなく、誤って結果的に怪我させてしまった場合に成立します。
⑵傷害罪
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
過失ではなく、故意に、女性スタッフに怪我を負わせたことで成立します。
お客さんが性病や皮膚病にかかっているのを自覚した上で、女性スタッフに接触感染っせた場合も傷害罪になります。
暴力を振るって、目に見える怪我を負わせただけではなく、相手の整理機能に障害を生じさせる行為全般が傷害罪が成立する行為になります。
被害者が病院で診断書を書いて貰えばm、それを証拠として、傷害罪として警察が捜査に動くケースもあります。
⑶強制わいせつ致傷罪
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法第181条
第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
風俗の性的サービスといえども、ルールや許容範囲があります。
そのサービスの許容範囲外のプレイを暴力や脅迫を用いて、行った上で女性スタッフに怪我をさせると成立する犯罪です。
強制わいせつ罪が成立するためには、「被害者の犯行を著しく困難にする程度の」暴行または、脅迫が必要であるとされています。
⑷強制性交等致傷罪
刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
刑法第181条
2.第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。
暴力を振るったり、脅迫を用いて、女性器または肛門、口に無理やり男性器を挿入して怪我をさせた場合に成立する罪です。
これは、女性だけではなく、男性に対して行った場合でも、強制性交等罪が成立します。
そして、強制わいせつ罪と同様に被害者の反抗を著しく困難にさせる程度の暴行な他は脅迫が必要となります。
⑸逮捕監禁致傷罪
刑法第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
刑法第221条
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
手錠や紐を用いて、女性スタッフをベッドに固定して自由を奪ったり、ホテルの部屋から出られないようにして、怪我をさせた場合に成立する犯罪です。
SMプレイなどの拘束プレイや監禁プレイの許容範囲であれば問題ないですが、そのようなオプションもなく勝手に身動きが取れないように自由を奪い、怪我をさせた場合に成立します。
2 対処法
⑴逃げない
被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅する恐れがあると判断された場合には、逮捕の必要性があると判断されます。
逮捕の必要性がなければ、警察に身柄を拘束される可能性も低くなります。
逃げてしまった場合には、このまま逃げ続けるつもりではないか、反省していないのではないかと、印象が悪くなってしまいます。
逃げずに逃亡する意思がないということをアピールするべきです。
⑵示談交渉をする
故意に怪我をさせたのであれば、すぐに示談交渉をするべきです。
故意の場合、非常に重い犯罪として、捜査機関も動き出しますし、刑事裁判いかけられて、処分を言い渡される可能性が高いです。
被害届を出されたり、告訴される前に示談締結に向けて動く必要があります。
加害者に対する処分というのは、被害者の加害者に対する処罰感情が重要とされています。
そのため、示談を成立させることで、不起訴になったり、罪が軽くなることが期待できます。
このような事件の示談交渉では、被害者と加害者が直接接触することは望ましくありません。
被害者は、加害者に対して怒りや恐怖心を抱いています。
また、被害者の連絡先を知る手段がないという問題もあります。
そのため、弁護士に介入してもらって示談交渉を進めてもらいましょう。
過失傷害罪は、親告罪であるため告訴しなければ起訴されません。
被害者も加害者の反省の意が見られ、示談金を支払うことを約束すれば、告訴することはあまりありません。
この場合もできるだけ早い段階で、被害者と示談を成立させるようにするべきです。
3 弁護士に相談するメリット
風俗トラブルを起こしてしまったら、決して自分自身で解決しようと焦らずに、風俗トラブルに強い弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼するメリットを説明していきます。
⑴お店側とのやりとりを任せられる
風俗トラブルを起こしてしまうと、何度も連絡がきたり、自宅に押しかけてこられたりすることがあります。
そうなると私生活への悪影響も及ぼしますし、見た目の怖い男性から恐喝のような発言をされるとかなり恐怖心を感じて、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。
このようなやりとりも弁護士へ依頼すれば、直接自分自身でする必要がなくなり、お店側とのやりとりを全て弁護士に任せることができます。
恐怖心や後ろめたさからお店側からの連絡を無視し続けていても、精神的にストレスを与えますし、時間が経つにつれ、穏便に解決することが難しくなります。
⑵適正な示談を結べる
トラブルが起きた際に、裁判によらずに、当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。
自分自身で示談を交渉すれば、トラブルなく解決できるのではないかとお考えの人もいると思いますが、示談内容・示談金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。
しかし、弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。
そして、弁護士が示談交渉することによって事案や状況によって妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。
もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、改めて示談金の減額や今後のトラブルを防止するために交渉します。
お店との話し合いを重ねて相手の同意のもと示談書を締結するため、再要求される事も防止します。
⑶不当な請求を拒否できる
弁護士に依頼すると、お店側が金銭などを要求してきた際に、その請求が妥当なものか判断して、場合によっては請求を拒否することができます。
当事者はお店ではなく被害者である女性スタッフであり、お店の請求自体が法的には根拠のないケースが多いです。
また、当事者である女性スタッフからの請求があっても、法外な適切ではない慰謝料などを請求された場合には妥当な金額になるように減額を交渉します。
⑷刑事事件になるのを防げる
担当弁護士がご本人に代わってお店側や従業員などと示談交渉を行ったり、煩雑になりがちな警察に働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。
示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。
そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。
もしお店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。
万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急に示談交渉を成立してもらうことで、送検もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。
警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。
そのために、すでに示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が非常に高くなります。
また、刑事裁判においても、被害者の感情というのは大きく考慮されます。したがって、示談が成立していると分かれば、実刑で刑務所に行かねばならないところが執行猶予になり刑務所に行かずに済んだり、実刑となっても刑期が短くなって刑務所に入る年数が少なくなるケースが多いです。
⑸家族や勤務先にバレない
家族や勤務先について、知られてしまうと信用を落としかねません。
それまでのお互いの関係性が崩壊してしまう可能性もあると思います。
しかし、早い段階で弁護士に依頼すれば、代理人としてお店や女性スタッフに対して、本人やその家族、会社に連絡しないように求めます。
それに違反した場合の違約金や処罰を示談書に盛り込むことによって、外部に漏らすことを防ぎます。
自分自身で警告するよりも弁護士の方が抑止力が高いですし、お店によっては弁護士との交渉ごとに慣れている場合もありますので、訴えられるような行動は取らない可能性が高くなります。
そのため、弁護士に依頼することでお店との交渉を代わりにしてくれ家族や勤務先にバレずに解決できる可能性が高くなります。
⑹個人情報の流出が防げる
示談交渉する際に、弁護士が代理人として締結する示談書には、お店側が得た個人情報の破棄を要求した上で、悪用や流出を禁止する内容を盛り込みます。
お店を利用した段階で、名前や電話番号などの個人情報がお店側に渡っている事もあると思いますし、免許証や会社の名刺などもお店に要求され、情報が渡っているケースがあります。
これらの返却やコピーを破棄させるようにするため、個人情報の流出を防止できます。
この契約に違反して、お店側が個人情報を流出すれば、名誉毀損などで弁護士が訴えることができます。
この旨をお店側が理解するまで弁護士が説明いたします。
4 まとめ
以上で、風俗で怪我をさせてしまった場合に問われる罪と対処法について解説しました。
弁護士に相談することによって、刑事事件になることを回避し、家族や勤務先に知られずに回避できる可能性が高くなります。
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