風俗で脅迫、恐喝された人が知っておくべき4つの対処法
- コラム
風俗で脅迫、恐喝された人が知っておくべき4つの対処法
風俗を利用した際に、風俗店と利用者の間でトラブルに発展するケースがよくあります。
そのような風俗店での問題行為になった際に、怖いスタッフに脅されたり、恐喝されたりするケースもあります。
ご自身に落ち度がない場合には、対応できるかもしれませんが、少しでも後ろめたさがあると、不安になり冷静な対応ができないかもしれません。
今回の記事では、トラブルに対して、脅されたり、恐喝されたケースにおいて、知っておくべき対処法について解説していきます。
1 知識として脅迫罪と恐喝罪
脅迫罪は、刑法222条で下記のように規定されています。
第1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を与える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を与える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
引用:刑法第222条
①脅迫の対象
脅迫の対象となるのは、本人又はその親族です。
つまり、本人でも親族でも友人や恋人に対する害悪の告知をしても、脅迫罪にはなりません。
しかし、もし友人に対する害悪の告知と共に、金銭や財物を要求された場合には、強要罪に該当する可能性が高いです。
脅迫罪は、基本的に本人または親族に対する害悪告知がないと成立しないので、法人は対象にならないのが原則です。
ただし、法人への害悪の告知であっても、それがその害悪の告知を受けた個人の生命や身体、自由、名誉、財産に対する害悪の告知になるのであれば、その個人に対する脅迫罪が成立すると判断された判例もあります。
②脅迫の内容
脅迫の内容は、生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を与えることです。これらと無関係なことを言ったとしても、脅迫罪は成立しません。
「殺すぞ」などの生命への害悪の告知
「殴るぞ」などの身体への害悪の告知
「ネットで公表するぞ」などの名誉への害悪の告知
「帰らさないぞ」などの自由への害悪の告知
「財産を奪うぞ」などの財産への害悪の告知
このような言葉で被害者を畏怖させたかにより脅迫罪に該当するかが決まります。
仲の良い友達同士で笑いながら上記のような言葉をかけても、客観的には恐怖を感じる者ではないと判断されるので、脅迫罪には該当しません。
しかし、脅迫罪は「害悪を告知」した時点で成立しますので、実際に、被害者が畏怖することまでは必要なく、脅迫罪には未遂罪はありません。
③脅迫の告知の方法
脅迫を告知する方法は、口頭だけではなく手紙やメール、電話やネット上の投稿でも脅迫罪が成立します。
さらに殴るそぶりを見せるなどの態度によって、脅迫罪が成立する可能性もあります。
⑵恐喝罪とは
刑法249条1項は、恐喝罪について、「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定しています。
恐喝罪とは、簡単にいうと、暴力や脅迫により人に恐怖を感じさせ、金銭、その他の財物を脅し取る犯罪です。
なお、恐喝罪の行為者と被害者が直系血族または同居の親族である場合は、刑が免除されます。また、直系血族・同居の親族以外の親族の関係にある場合は、告訴がなければ起訴することができません。
恐喝罪の成立要件
恐喝罪の成立要件は、
①恐喝(相手方に財物を交付させる手段としての「暴行または脅迫」)
②財物の交付
です。
③恐喝
恐喝とは、人に財物を交付させる手段として、人を畏怖させるような行為、つまり、暴行または脅迫をすることをいいます。
畏怖させたかどうかは、暴行や脅迫の被害者が怖がったかどうかではなく、一般人であればその行為により怖がるかどうかで判断されます。
恐喝罪における脅迫は、相手方の反抗を完全には抑圧しない程度のもので、財物・財産上の利益を得るために用いられるものをいいます。
また、相手方の反抗を抑圧しない程度の暴行も恐喝に含まれます。
④交付行為
次に恐喝罪は、上記の暴行または脅迫を手段として、相手方から財物(お金など)を交付させることが必要です。
すなわち、行為者の恐喝行為によって相手方が畏怖し、相手方の畏怖によって財物が行為者に交付されたという恐喝行為によって畏怖して、畏怖に基づく財物の交付の一連の因果関係が必要といえます。
恐喝行為を行ったが、相手方が畏怖しなかったという場合や相手方が畏怖したものの何らかの事情で財物を交付させることができなかったという場合は、恐喝未遂罪が成立するにとどまります。
⑶脅迫と恐喝の違い
脅迫と恐喝の違いは目的にあります。
脅迫とは、相手を怖がらせることが目的であり、恐喝は金銭を得ることを目的としています。
風俗店側からお客さんに対しての場合は、金銭を得ることを目的としていることが多いですので、恐喝に該当するケースが多いということになります。
2 脅迫や恐喝された場合にするべきこと
風俗にて、お客さんとサービス内容やルールについて風俗嬢と揉めるトラブルが起きることがありますが、その際には裏に控えている男性スタッフが怯えさせるような対応で、恐喝や脅迫してくるケースもあります。
そのケースで、本番行為や盗撮などこちらに問題がある場合には、警察に相談することも抵抗があるかもしれません。
ここでは、そういったケースでの対処法について解説します。
(1) その場でお金を払わない
風俗での問題行為は、お店のスタッフから罰金や慰謝料として、高額な金銭を支払うように要求してくることがありますが、脅されてもその場で支払わないようにしましょう。
お店や女性スタッフが要求する罰金や慰謝料が法的に支払う義務があるのか、その金額は妥当なものなのかを判断する必要があります。
また、その場でお金を支払って、それで解決になればいいですが、その後も繰り返し請求されるケースがあります。
さらに、法外な金額であったとしても、一度支払ったお金を取り返すことは時間も手間もかかります。
「払わなければ殺すぞ」のような直接的な言葉を使用すると恐喝罪になってしまうことを危惧して、別の形、別の言葉でお客さんにプレッシャーをかけてくるかもしれませんが、その後に繰り返し請求されないためにも、最初の段階で払わないようにしましょう。
⑵落ち着いて対応する
自分が問題を起こした場合に、強面の男性スタッフにプレッシャーをかけられれば、冷静に判断し対応することが難しくなるでしょう。
しかし、風俗店や女性スタッフが事実とは異なる主張をしている場合もあります。
女性スタッフの同意を得ていたはずなのに、女性スタッフの主張が一変して、無理やり本番行為をされたと主張してくるケースもあります。
本番行為については、暴行をしたり力づくで抑えた上で及んだというレベルでなければ犯罪にはなりません。
問題が発生した過程は明確にしておくべきですので、事実と異なる主張をされても認めてしまうと後から覆すことが難しくなってしまいます。
お店や女性スタッフの主張が事実と異なる場合には、事実無根であるということを伝えるべきです。
威圧的な態度で、プレッシャーをかけられていると反論することが難しいと思いますが、適切な対応を取れば、穏便に解決できることもありますので、冷静に落ち着いて対応しましょう。
⑶録音や記録を残しておく
風俗店・女性スタッフとの会話を録音などして、証拠を残しておきましょう。
後から弁護士や警察に相談する際にも、証拠があった方が有利ですので、連絡があった場合や再びお店に呼び出された場合にもスマートフォンなどで録音しておくと解決までスムーズです。
録音などが難しい状況では、言われた言葉をできるだけ忠実にメモしておくと有効です。
風俗店との会話の内容や相手が言った言葉などによって、恐喝や脅迫の材料として活用できる可能性があります。
また、お店の人から暴行を受けた場合には、写真を撮って証拠を残し、多少の傷でも病院で医者に診てもらい、診断書を書いてもらうことが重要です。
表面上には見えない傷でも、首や肩を痛めたといった診断でも威圧的に脅された精神的ショックで精神的にダメージを受けた場合でも構いません。
⑷警察や弁護士に相談する
風俗店から恐喝や脅迫を受けた場合には、迅速に警察や弁護士に相談することが重要です。
盗撮や本番行為に及んでしまったというお客さんに問題がある場合には、弁護士に相談することによって、迷惑防止条例違反等のリスクを避けることができますが、お客さんに何の問題もない場合には、警察に相談すれば、恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があります。
穏便に解決することを目的とするならば、弁護士に介入してもらい、示談交渉をしてもらうのがいいと言えます。
3 知識として弁護士に相談するメリット
トラブルを起こしてしまったら、決して自分自身で解決しようと焦らずにトラブルに強い弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼するメリットを説明していきます。
⑴お店側とのやりとりを任せられる
トラブルを起こしてしまうと、何度も連絡がきたり、自宅に押しかけられたりすることがあります。
そうなると私生活への悪影響も及ぼしますし、見た目の怖い男性から恐喝のような発言をされるとかなり恐怖心を感じて、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。
このようなやりとりも弁護士へ依頼すれば、直接自分自身でする必要がなくなり、お店側とのやりとりを全て弁護士に任せることができます。
恐怖心や後ろめたさからお店側の連絡w無視し続けていても、精神的にストレスを与えますし、時間が経過するにつれて穏便に解決することが難しくなります。
⑵適切な示談を結べる
トラブルが起きた際に、裁判によらずに当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。
自分自身で示談を苦笑すれば、トラブルなく解決できるのではないかとお考えの人もいるかと思いますが、示談内容・示談金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。
しかし、風俗トラブルを弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。
そして、弁護士が示談交渉することによってトラブルの事案や状況によって、妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。
もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、あらためて示談金の減額や今後のトラブルを防止するために交渉します。
お店との話し合いを重ねて、相手の同意のもと示談書を作成するため、際要求されることも防止します。
⑶不当な請求を拒否できる
弁護士に依頼すると、風俗トラブルでお店側が金銭などを要求してきた際に、その請求が妥当なものか判断して、場合によっては請求を拒否することができます。
トラブルの当事者はお店ではなく、被害者である女性スタッフであり、お店の請求事態が法的には根拠のないケースが多いです。
また、当事者である女性スタッフからの請求があっても、法外な適切ではない慰謝料などを請求された場合に、妥当な金額になるように減額を交渉します。
⑷刑事事件になるのを防げる
担当弁護士がご本人に代わって、お店側や従業員などと示談交渉を行ったり、煩雑になりがちな警察に働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。
示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。
そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。
もし、お店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。
万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急し示談交渉をしてもらうことで、創建もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。
警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。
そのために、既に示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が高くなります。
また、刑事裁判においても、被害者の感情というのは大きく考慮されます。したがって、示談が成立していると分かれば、実刑で刑務所に行かねばならないところが執行猶予になり刑務所に行かずに済んだり、実刑となっても刑期が短くなって刑務所に入る年数が少なくなるケースが多いです。
⑸家族や勤務先にバレない
家族や勤務先に知られてしまうと信用を落としかねません。
それまでのお互いの関係性が崩壊してしまう可能性もあると思います。
しかし、早い段階で弁護士に依頼すれば、代理人としてお店や女性スタッフに対して、本人やその家族、会社に連絡しないように求めます。
それに違反した場合の違約金や処罰を示談書に盛り込むことによって、外部に漏らすことを防ぎます。
自分自身で警告するよりも弁護士の方が抑止力が高いですし、お店によっては弁護士との交渉ごとに慣れている場合もありますので、訴えられるような行動は取らない可能性が高くなります。
そのため、弁護士に依頼することでお店との交渉を代わりにしてくれ家族や勤務先にバレずに解決できる可能性が高くなります。
⑹個人情報の流出が防げる
示談交渉する際に、弁護士が代理人として締結する示談書には、お店側が得た個人情報の破棄を要求した上で、悪用や流出を禁止する内容を盛り込みます。
お店を利用した段階で、名前や電話番号などの個人情報がお店側に渡っている事もあると思いますし、免許証や会社の名刺などもお店に要求され、情報が渡っているケースがあります。
これらの返却やコピーを破棄させるようにするため、個人情報の流出を防止できます。
この契約に違反して、お店側が個人情報を流出すれば、名誉毀損などで弁護士が訴えることができます。
この旨をお店側が理解するまで弁護士が説明し、今後のトラブルがないように徹底します。
4 まとめ
以上で、脅迫や恐喝をされた灰の対処法について解説してきました。
お金を支払うように恐喝された場合は、すぐに警察または弁護士に相談されることをおすすめします。
穏便に解決するために、その場は冷静に対応して弁護士に介入してもらうことが重要です。
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