保釈について
- コラム
保釈とは、勾留という直接の身体拘束に代えて、保釈保証金の納付の代わりに被告人の身体を釈放することをいいます。
今回の記事では、保釈のポイントや認められるケースについて解説していきます。
1 保釈とは
保釈とは、交流されている被告人の身体拘束を保釈金を支払うことと引き換えに一時的に解除する制度です。
刑事訴訟法
第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
誰出会った絵も有罪判決が確定するまでは犯罪者として扱われない権利を持っており、刑事裁判の被告人になったという状況では犯罪を犯したと決めつけることはできません。
保釈は、犯人だと断定することができない被告人が著しい不利益を被らないために、一定の要件を満たす場合に限り、一時的に身体拘束が解かれるためにある制度です。
保釈の制度にはこの無罪推定の原則という考えがあります。
2 保釈の要件
保釈には大きく分けて権利保釈、裁量保釈、義務的保釈の3つの種類があります。
⑴権利保釈
権利保釈とは、被告人・弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹からの請求によって認められる保釈のことです。
これらの人から請求があれが、原則として保釈は認められます。
保釈が認められないのは以下の事情がある場合です。
①死刑、無期、短期1年以上の懲役刑や禁固刑に当たる罪を犯したものであるとき
②以前に死刑、無期、長期10年を超える懲役刑や禁固刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
③常習として長期3年以上の懲役刑や禁固刑に当たる罪を犯したものであるとき
④罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑤被害者やその事件の関係者や親族の身体もしくは財産に害を加えまたはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき⑥被告人の氏名または住所がわからないとき
風俗トラブルの場合では、強制わいせつ罪や本番行為を強要したとして、強制性交等罪で起訴されるケースがありますが、強制わいせつ罪の法定刑は短期6ヶ月以上ですが、証拠を隠滅する可能性があるとされれば権利保釈は認められませんし、強制性交等罪の法定刑は短期5年以上であるため、権利保釈は認められません。
⑵裁量保釈
裁量保釈とは、上の権利保釈でも認められない場合に、さまざまな事情を考慮して裁判所が裁量で釈放することをいいます。
刑訴法第90条に「裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」という規定があります。
裁量保釈が認められるためには、権利保釈が認められない理由を適切に把握した上で、保釈を許しても実際上の弊害がないことを説得的に論じる必要があります。
⑶義務的保釈
義務的保釈とは、身体拘束の期間が不当に長くなっていると裁判所が判断した場合に、被告人からの請求を待たずに裁判官自身の判断で保釈を認められるものです。
3 保釈金について
保釈が認められる場合には、保釈金を裁判所に収める必要があります。
保釈金は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければなりません。
そして、上の他に被告人の生活環境や身元引受人がいるかどうかなどが考慮されます。
保釈金は、公判への出頭を確保するための補償金としてでもあります。
保釈金は、釈放してもらうことの対価ではなく逃亡などを防止するための保証金です。
通常は刑事裁判が終わった段階で環付されますが、正当な理由がなく公判に出頭しなかったり、逃亡や証拠隠滅をはたらいたり、被害者に危害を加えたりした場合には没収されます。
4 保釈と釈放
保釈とにている意味として釈放という言葉があります。
釈放とは、保釈のような一時的な解法ではなくて完全な身柄の解放の事を言います。
保釈とは異なり、被告人に限定されていませんし、補償金を支払う必要もありません。
なお、、釈放されても事件が完全に終結したとはいえないケースもあります。
5 保釈のメリット
保釈が認められれば、被告人は身柄拘束から解放されます。
つまり、自由に社会生活を送ることが可能になります。
自宅で生活しながら、会社や学校へ通うことも可能となります。
また、刑事裁判のための弁護士との打ち合わせもしやすくなるので、刑事裁判へ向けて準備を整えることができるようになります。
しかし、保釈の場合は、裁判所が保釈の条件として、住居の制限などその他の条件を言い渡されることもあります。
そして、保釈の期間は、当該審級の裁判が終わるまでです。
6 保釈を認めてもらうために
保釈の請求は本人や家族が行うことも可能です。
しかし、保釈を認めてもらうためには、保釈に必要な証拠を集めたり、書面にまとめたり、準備が必要となります。
そのため、保釈の請求は弁護士にご相談ください。
7 風俗トラブルを弁護士に依頼するメリット
⑴逮捕されることを防ぐことができる
逮捕前に示談が成立すれば、被害者が警察へ通報したり、被害届を提出することを禁止する約束をすることができます。
もしすでに、被害届が提出されている場合には、被害届を取り下げてもらう条項を示談書に記載して、取り下げてもらいます。
刑事事件になったとしても、すでに示談が成立しているということで、警察が加害者の逮捕のために動く可能性が低くなります。
⑵不起訴・釈放の可能性が高くなる
警察や検察は、犯人の処分を決める際に、被害者がどれだけ加害者を強く処罰してほしいと思っているかという被害者の処罰感情を考慮しています。
そのため、示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、争いがなく、被害者が加害者に対して強い処罰を望んでいるわけではないと考慮され、早期の釈放をされたり、不起訴ということで、刑事裁判にならない可能性が高くなります。
⑶刑事処分が軽くなる可能性が高くなる
刑事裁判においても、被害者の感情が考慮されるため、示談が成立していれば、裁判を受けることになっても、罰金刑になる可能性や執行猶予がつき実刑を免れる可能性も高くなります。
また、実刑判決となっても刑期が短くなる可能性が高まります。
⑷民事訴訟を起こされる可能性が低くなる
示談をしていない場合、刑事裁判での刑罰とは別に、損害賠償を求める民事裁判を起こされて被害者へ金銭を支払うように判決が出る可能性があります。
示談をしておけば、示談書で定めた以外の債権債務が存在しないことを確認する清算条項を記載することによって、示談で定めた内容以外の金銭は支払わなくてもよいので、民事裁判を起こされる可能性がほぼなくなります。
8 まとめ
以上で保釈についてポイントを説明してきました。
保釈とは、保釈保証金の納付の代わりに被告人の身柄を一時的に解放する制度です。
弁護士に相談すれば、保釈の要件や必要な手続き、アドバイスをしてもらえます。
ご家族などが逮捕や起訴されて、保釈が可能なのかまたその他お困り事がございましたら、弊所へご相談ください。
風俗トラブルの解決実績多数の弁護士が対応させていただきます。
関連キーワード