デリヘルトラブルの5つのパターン

グランシエル法律事務所

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

風俗での性的サービスでトラブルが多く発生していますが、その中でも、デリヘルを利用した際のトラブルが発生するケースが増えています。

なぜデリヘルではトラブルが起きやすいのでしょうか。

デリヘルでは、店舗内でサービスを受ける場合と異なり、店舗スタッフの監視の目がないことから、女性スタッフに対して、サービス範囲外のお願いをしたり、盗撮をしたり、ハメを外してしまうことが起こりやすいのです。

その場合にどうすればいいのかお悩みではありませんか。

結論から言いますと、デリヘルでトラブルになってお困りの場合は、すぐに弁護士にご相談することをおすすめします。

今回の記事では、デリヘルでよくあるトラブルとその場合の対処法を説明します。

1 デリヘルでトラブルが発生しやすい理由

デリヘル(デリバリーヘルス)とは、店舗型ではない無店舗型ヘルスの総称です。派遣型ヘルスとも呼ばれ、デリヘルは電話一本でホテルや自宅に女の子を派遣してもらえる種類の風俗です。

風俗でのトラブルは特にデリヘルでのトラブルが多く発生しており、弁護士にご相談される方も多くいらっしゃいます。

箱型と呼ばれるソープランドなどの風俗店は、風俗店スタッフがすぐ近くにいる店舗内にて、静的サービスが行われます。

お店の中でのサービスであれば、その場にいなくてもある程度監視できるため、また何かあればすぐに駆けつけることができるため、当然お客さんとしてはルールを守ります。

しかし、デリヘルは自宅やラブホテルなどのお店から離れた店外でのサービスとなります。

お店から離れているために、お店のスタッフの監視の目が気にならなくなり、気が緩んで羽目を外した行動をしてしまうお客さんが多いのです。

これは、お客さんだけではなく風俗嬢もスタッフの目が届かないということで、禁止行為に及んでしまい、トラブルに発展ということがあります。

当然、デリヘルでもルールは存在しますが、自宅やホテルの密室で2人きりという状況がトラブルを起こしてしまうということです。

そこで、デリヘルで起こりやすいトラブルについて解説していきます。

2 デリヘルで起こりやすいトラブル

⑴盗撮

デリヘルで特に多く発生しているトラブルが盗撮です。

店舗型風俗の場合は、風俗嬢が待機している部屋に後からお客さんが入るというパターンになっていることが多いため、盗撮するためにカメラ・スマホを設置する時間がありません。

しかし、デリヘルの場合は、お客さんが待機している場所に女性を呼ぶため、カメラの設置が可能で、バレないだろうという気持ちになってしまい、盗撮行為に及んでしてしまう人がいるのです。

さらに、撮影したデータをもとに女性スタッフを脅して、本番行為を強要するというケースも起きているようです。

性的サービスを相手の許可なく盗撮することは、迷惑防止条例違反等の犯罪行為が成立する可能性があります。

⑵本番行為

上記のように、お店のスタッフがすぐ駆けつけれる状況でサービスを行う店舗型風俗に対して、スタッフがそばにいないホテルや自宅でサービスを行うデリヘルは、ハメを外して本番行為に及んでしまうことが多くなっているようです。

また、女性スタッフも風俗店のスタッフの監視の目から離れるということで、次回指名してもらうためであったり、別途料金をもらうためであったりして、お客さんからの本番行為の誘いに応じてしまうことも少なくありません。

店舗型風俗店では、店舗内で本番行為が行われていたとなると、売春行為として、厳しい処罰を受けることになる可能性が高いため、風俗店自体が厳しく本番行為を禁止しています。

しかし、お店とは別の場所で性的サービスが行われるデリヘルでは、本番行為について知らなかったと言い訳することができるので、厳しく監視していないこともあるようです。

このように本番行為がしやすいという状況がお客さんの羽目を外しやすくしており、このような経験をもとに、デリヘルは本番行為を許してくれるという間違えた認識をして、本番トラブルになってしまうことがあるのです。

⑶暴行

SM行為を強要して、暴行を加えてしまったり、女性スタッフに無理なお願いを拒否されたことで、暴行を加えてしまうお客さんもいるようです。

また、上記で本番行為に及んでしまうケースが多いと説明しましたが、これに伴い妊娠についてのトラブルが起こる可能性も高くなります。

例え、本番行為について女性スタッフの同意があったとしても、妊娠をすることに対しては、もちろん許容していないと考えられます。

その場合、妊娠させてしまうと中絶費用や検査費用、慰謝料の請求をされてしまいます。

出産してしまった場合には、養育費の支払い義務も発生しますので、本番行為はするべきではありません。

⑷店外サービス

お客さんの中には、気に入った風俗嬢がいると、お店を介せずに直接連絡を取ったり、遊ぶことを提案する人もいます。

お客さんにとっても料金が安く済み、風俗嬢にとってもお店の取り分も含めて全額得ることができるので、双方にとってメリットがあります。

しかし、お店は売上が減少する行為を許しておくわけがないため、禁止しているので、店外デートが知られれば、高額な罰金を請求される可能性があります。

⑸ストーカー

デリヘルは、お店のスタッフの目がない場所で女性と2人きりでサービスの時間を過ごします。女性はあくまで、お金をいただいた対価として、仕事としてサービスを行なっているわけですが、本当にまるで恋人であるかのように錯覚してしまうお客さんもいます。

デリヘルの女性スタッフをリピーターとして指名を繰り返すことは喜ばれますが、勘違いをして営業外で行動しようとしてしまいます。

そして、1人の女性として好きになってしまい、その気持ちが受け入れてもらえないとなると、結果、しつこく連絡をしたりストーカーと化して、暴走してしまうこともあります。

お店を介さずに、女性スタッフと接触することは、それだけでルール違反であり、罰金を請求されてしまうこともあります。

それだけではなく、女性スタッフが被害届を出せば、ストーカー被害として犯罪が成立してしまう可能性があります。

3 デリヘルトラブルで逮捕されるのか

上記で説明したようなトラブルを起こしってしまった場合に、犯罪が成立して逮捕されるのかどうかについて解説します。

⑴盗撮

デリヘルでの盗撮が刑事事件になる際には、迷惑防止条例違反が考えられます。

迷惑防止条例とは、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の略称で、社会一般の人々に著しく迷惑をかける暴力的な行為等を防止して、住民の生活の平穏を守るための法律です。

47都道府県や一部の市町村で制定されており、この迷惑防止条例の中に盗撮に関する規定があります。各都道府県によって条例に書かれている文言は多少異なります。

つまり、風俗での盗撮が迷惑防止条例違反以外等するかどうかは、それぞれの都道府県の迷惑防止条例の内容によって変わってきます。

東京都の迷惑防止条例違反では第5条に「粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止」が定められています。これによって、デリヘルでの盗撮行為は取り締まりの対象とされます。

また大阪府でも迷惑防止条例が改正され、デリヘルの盗撮が条例で規制されることになりました。

東京都迷惑防止条例は「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」と「公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物」で下着又は裸体の盗撮を禁止しています。

自宅は、住居に該当し、ラブホテルや風俗店のプレイルーム等は「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」にあたるので、処罰対象になります。

そのため、風俗を利用中に女性スタッフを盗撮する行為は条例違反となります。

また、実際に撮影を行なっていなかったとしても、撮影するためにホテルや自宅内に隠しカメラを設置したり、撮影機器を女性スタッフに向けるだけでも東京都や大阪府などの迷惑防止条例違反に抵触します。

東京都の迷惑防止条例では,以下のように規定されています。

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

なお常習の場合には

2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

すなわち、風俗店での盗撮行為も警察に逮捕されてしまう可能性があります。

ただし、現時点で一部の県では改正がまだされておらず、自宅やホテル、風俗店のプレイルームでの盗撮が規制対象となっていません。

盗撮トラブルを起こしてしまった場合には、その地域の迷惑防止条例を確認する必要があります。

⑵暴行

暴行罪(刑法208条)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

傷害罪(刑法204条)
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

女性スタッフに対して、蹴ったり殴ったりして、怪我を負わせなかった場合には暴行罪、怪我を負わせた場合には傷害罪が成立します。

この暴力や脅迫をもってせい行為に及んだ場合には、強制性交等罪が成立する可能性があります。強制性交等罪が成立すれば、5年以上の有期懲役に処される可能性があります。

⑶ストーカー

ストーカー規制法では、「ストーカー行為を処罰するなどストーカー行為について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的としています。」とされています。

同一の者に対し、「つきまとい等」を繰り返して行うことを「ストーカー行為」と規定しており、ストーカー行為をしたものは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(第18条)、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(第19条)と重い罪となっています。

4 デリヘルトラブルでの注意点

⑴その場でお金を払わない

風俗トラブルでは、お店のスタッフから罰金や慰謝料とし高額な金銭を支払うように要求してくることがありますが、脅されてもその場で支払わないようにしましょう。

お店や女性スタッフが要求する罰金や慰謝料が法的に支払う義務があるのか、その金額は妥当なものかを判断する必要があります。

また、その場でお金を支払って、それで解決になればいいですが、その後も繰り返し請求されるケースがあります。

さらに、法外な金額であったとしても一度支払ったお金を取り返すことは時間も手間もかかります。

なんとかしてその場をやり過ごして、弁護士にご相談することをおすすめします。

⑵落ち着いて対応する

自分が問題を起こした場合に、強面の男性スタッフにプレッシャーをかけられれば、冷静に判断することは難しくなるでしょう。

しかし、風俗店や女性スタッフが事実とは異なる主張をしている場合もあります。

本番トラブルでは、女性スタッフの同意を得ていたはずだったのに、女性スタッフの主張が一変して、無理やり本番行為をされたと主張してくるケースもあります。

本番行為については、暴行をしたり、力づくで抑えた上で及んだというレベルでなければ犯罪にはなりません。

問題が発生した過程は明確にしておくべきですので、事実と異なる主張をされても認めてしまうと、後から覆すことが難しくなってしまいます。

お店や女性スタッフの主張が事実と異なる場合には、事実無根であるということを伝えるべきです。

威圧的な態度でプレッシャーをかけられると反論することが難しいと思いますが、適切な対応を取れば、穏便に解決できることもありますので、冷静に落ち着いて、対応しましょう。

⑶録音や記録を残しておく

風俗店・女性スタッフとの会話を録音するなどして証拠を残しておきましょう。

後から、弁護士や警察に相談する際にも証拠があった方が有利ですので、連絡があった場合や再びお店に呼び出された場合にも、スマートフォンなどで録音しておくと解決までスムーズです。

録音が難しい状況では、言われた言葉をできるだけ忠実にメモしておくと有効です。

風俗店との会話の内容や相手が言った言葉などによって、恐喝や脅迫の証拠として活用できる可能性があります。

直接的な言葉を使うのは避けているかもしれませんが、内容や状況から脅迫罪や恐喝罪として成立する可能性があります。

また、お店の人から暴行を受けた場合には、写真を撮って証拠を残し、多少の傷でも病院で医者に診てもらい、診断書を書いてもらうことが重要です。

表面上には見えない傷でも、首や肩を痛めたといった診断でも威圧的に脅された精神的ショックで精神的にダメージを受けた場合でも構いません。

⑷弁護士に相談する

風俗店から恐喝や脅迫を受けた場合には、迅速に警察や弁護士に相談することが重要です。

盗撮や本番行為に及んでしまったというお客さんに問題がある場合には、弁護士に相談することによって、迷惑防止条例違反等のリスクを避けることができますが、お客さんに何の問題もない場合には、警察に相談すれば、恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があります。

穏便に解決することを目的とするならば、弁護士に介入してもらい、示談交渉をしてもらうのが良いと言えます。

5 デリヘルトラブルを弁護士に相談するメリット

⑴風俗店とのやりとりを全て任せることができる

デリヘルでのトラブルを弁護士に依頼することにより、風俗店との連絡や示談交渉を全て弁護士に任せることができます。

威圧的な態度や問題を起こしてしまった後ろめたさで、適切な判断ができなくなっているかもしれませんが、風俗店に対してお客さんの代理人として介入する旨を通知するので、風俗店から連絡が来ることもなくなり、精神的負担を軽くすることができます。

恐怖心や後ろめたさからお店側からの連絡を無視し続けていても、精神的にストレスを与えますし、時間が経つにつれ穏便に解決することが難しくなります。

⑵適切な示談を結ぶことができる

自分自身で示談を交渉すれば、トラブルなく解決できるのではないかとお考えの人もいるのではないかと思いますが、示談内容・金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。

しかし、風俗トラブルを弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。

そして、弁護士が示談交渉をすることによってトラブルの事案や状況によって、妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。

もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、改めて示談金の減額や今後のトラブルを防止するために交渉します。

お店との話し合いを重ねて相手の同意のもと示談書を締結するため、再要求される事も防止します。

⑶刑事事件になるのを防げる

担当弁護士がご本人に代わってお店側や従業員などと示談交渉を行ったり、警察に働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。

そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。

もしお店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。

万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急に示談交渉を成立してもらうことで、送検もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。

警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。

そのために、すでに示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が非常に高くなります。

また、刑事裁判においても、被害者の感情というのは大きく考慮されます。したがって、示談が成立していると分かれば、実刑で刑務所に行かねばならないところが執行猶予になり刑務所に行かずに済んだり、実刑となっても刑期が短くなって刑務所に入る年数が少なくなるケースが多いです。

⑷トラブルが蒸し返されるのと防ぐことができる

弁護士が示談交渉をすることによって、適正な示談を締結することができるので、後になってからトラブルを蒸し返されることを防ぐことができます。

示談書を作成する際に、「この示談書に書かれているもの以外の債権債務はない」とする清算条項を記載することによって、今後お互いに金銭の請求をすることができなくなります。

6 まとめ

以上で、デリヘルトラブルになりやすいケースや対処法について解説しました。

上記で解説してきたように、デリヘルでのトラブルが発生した際には、弁護士にご相談いただくことが重要です。

デリヘル店とのトラブルにおいては、加害者となるお客さんの立場は圧倒的に不利な状況であり、風俗トラブルに強い弁護士に対応してもらうことが迅速に穏便に解決できる可能性がある得策だからです。

風俗店とのトラブルは、家族や友人には相談しにくいものですし、家族や勤務先に知られないためにも、1度弁護士にご相談ください。

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