逮捕されないためにするべきこと

グランシエル法律事務所

あいりす大阪法律事務所

  • コラム

風俗店において盗撮や本番行為をしてしまい、トラブルになっているというケースは多いですが、その場合に逮捕されないか心配になっているという相談を非常に多くいただきます。

逮捕される可能性が少ないケースというのももちろんありますが、実際に風俗トラブルでお客さんが逮捕されているのは事実です。

早くトラブルを解決したい場合でも、逮捕されることは避けたいという人でも、風俗で刑事事件になる可能性のあるトラブルが発生した際に、逮捕されないためにするべきことを解説していきます。

1 逮捕とは

逮捕とは、警察官などが被疑者(罪を犯したと疑われている人)の逃亡や証拠隠滅を防止するため、比較的短時間強制的に身柄を拘束する行為を指します。

これに対して意味が似ていて区別が難しいとされる検挙とは、警察官等が認知した犯罪行為につき、被疑者を取り調べることを意味する言葉ですが、検挙は必ずしも強制的な身柄拘束を意味しない点が逮捕との大きな違いです。すなわち、取り調べに応じないことも可能ですし、外せない予定があるからと別日にしてもらうことや一旦取調べを受け、好きな時に帰ることも可能です。

風俗トラブルにおいては、現行犯逮捕という盗撮や本番行為が発覚し、その場で風俗店のスタッフが捕まえることがあります。

一般的には、警察官に現場で事情聴取を受けるか、任意同行を求められて警察署で事情を説明することになります。ほとんどのケースではその日は帰宅することができます。

その後、風俗嬢が被害届や告訴状を提出して受理されると、捜査を開始し、逮捕の要件が揃えば裁判所に逮捕状の発付を請求し、逮捕状を根拠に男性客を逮捕することになります。これが通常逮捕です。

 

2 逮捕の要件

通常逮捕を適法に行うには、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」と逮捕の必要性、逮捕状が必要です。

特定の犯罪が存在し、被逮捕者がその犯罪を犯した可能性が高いことが必要となるのです。

暴行の怪我の痕であったり、盗撮であればカメラ内のデータなど、被害者の証言を裏付ける客観的な根拠があれば、逮捕の理由があると判断される可能性が高くなります。

そして、逮捕の目的は、被逮捕者の逃亡証拠隠滅を防止することにあるため、その可能性がない場合にまで、強制的に身体を拘束しておく必要はないとされています。

そのため被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅の可能性があれば、逮捕の必要性が認められることになります。

住居不定者、独身者、定職に就いていない者等は、必ずしも一定の場所にとどまる必要がなく、逃亡のおそれが認められやすいとされます。

警察官などが逮捕状を請求し、裁判官が上記の要件を満たすと判断した場合に、適法な通常逮捕となります。

 

3 風俗トラブルで逮捕されないようにする方法

風俗にて、盗撮や本番行為などによって風俗トラブルを起こしてしまうと逮捕される可能性があります。

強制性交等罪で逮捕されてしまうと、長期間刑務所に入らなければいけなくなる可能性もあります。

では、風俗トラブルを起こしてしまった場合に、逮捕をされないようにするためにはどうすればいいでしょうか。

まず、結論としては被害者と示談をすることが重要です。

それでは、他の対処方法も含めて風俗トラブルで逮捕されないためにするべきことを詳しく解説していきましょう。

 

⑴逮捕の理由がないことを説明する

まずは、警察の疑いをはらすためにしっかりと説明する必要があります。

例えば、女性スタッフと本番行為を行ったケースでも、女性スタッフの方から誘われていたり、双方の同意のもとであったり、暴力や脅迫は行っていないというのであれば、強制性交等罪は成立しませんので、本番行為に至った経緯を素直に説明すれば、逮捕される可能性は低くなるといえます。

盗撮においてトラブルになっている場合でも、本当に盗撮をしていないのであれば、カメラのデータ内に盗撮したものがないことをしっかり証明して、説明する必要があります。

 

⑵逮捕の必要性がないことを説明する

逮捕の要件で説明したように、逮捕の必要性というのは、被疑者が逃亡や証拠を隠滅する可能性がある場合に認められます。

つまり、証拠を隠したり、逃亡する可能性がなければ、逮捕の必要性がないため警察から逮捕されることはなといえます。

したがって、警察に逮捕されないためにはお客さんがカメラ等の撮影に使用した機器を出したりして持っている証拠を差し出し、身元を隠すことなく、逃げるつもりがないことを示す必要があります。

また、免許証等の身分証で個人情報を明らかにして、連絡先を伝えて、勤務先を伝える必要があるかもしれません。

もし、任意同行を求められた場合は素直に従うべきです。

警察に捜査に協力的であり、証拠を隠そうとする可能性もなく、家族や仕事を捨ててまで、逃げる可能性はなさそうと感じてもらう必要があるのです。

 

⑶被害者と示談をする

示談をすることによって、警察の捜査が開始されなかったり、仮に捜査が始まったとしても警察や検察の方で示談しているという事情を考慮して、逮捕されないケースが多いです。

なぜならば、被疑者が逮捕や起訴される可動化は被害者の加害者に対する処罰感情が大きく関係するからです。

そのため、一刻も早く女性スタッフと示談を交わして、被害届や告訴状を取り下げてもらう必要があります。

もっとも、どんなトラブルでも全て示談すればいいというわけではありません。

示談の必要がないケースについて説明します。

風俗店との間で本番行為についてトラブルになったが、女性スタッフの同意を得ていたという風俗トラブルが犯罪に該当しないケースです。この場合には、強制性交等罪は成立せず、犯罪行為ではありませんので、示談しなければ、逮捕されるということはありません。

しかし、本番についての同意があったかどうか、強制性交等罪の暴行の有無については、判断も証明することも難しいものであるため、安易に示談する必要はないと決めつけることは危険です。

また、悪質な風俗店の場合では、意図的に本番行為を誘い、これをもとに金銭を要求してくる事例があります。このようなケースでは、示談に応じることなく、戦うことも考えるべきです。

 

4 示談をするメリット

逮捕されないために示談をする必要性というのを説明してきました。

それでは、示談をするとなぜいいのか他のメリットも含めて解説していきます。

⑴逮捕されることを防ぐことができる

風俗トラブルでも逮捕される可能性は十分にあります。

本番行為や盗撮をしてしまい、違法行為による被害を受けた風俗嬢が被害届や告訴状を提出して、刑事事件になる可能性があります。

しかし、示談を成立させる際に、警察に被害届や告訴状を提出しないことを約束する旨の内容を加えます。

逮捕前に示談を成立することができれば、その結果、警察への通報や被害届を提出することを防ぐことができますので、警察に知られない可能性が高くなります。

 

⑵逮捕後でも、釈放・不起訴の可能性が高くなる

警察や検察は、加害者の処分を決める際に、被害者がどれだけ強く加害者を処罰してほしいと思っているかを考慮します。

そのため、逮捕されても示談が成立していれば、加害者は被害者を許す気持ちがあり、それほど強い処分を望んでいるわけではないと判断され、早期の釈放をされたり、不起訴処分になり、刑事裁判を避けることができる可能性が高くなります。

 

⑶減刑される可能性が高くなる

刑事裁判においても、被害者の加害者に対する処罰感情は大きく考慮されます。

起訴されて刑事裁判になった場合でも、被害者との示談が成立していれば、量刑が軽くなり罰金刑になる可能性や、執行猶予がつき実刑を免れる可能性も高くなります。

また、実刑となっても、示談を成立させることによって、刑期が短くなり刑務所に入る年数が短くなる可能性が高まります。

 

⑷民事訴訟を起こされずに済む

刑罰を科すための手続きである刑事裁判と、被害者の損害分の金銭等を請求する手続きである民事裁判はというのは別の手続きです。

示談が成立していない場合には、刑事事件の判決とは別に、損害賠償を求める民事裁判を起こされる可能性があります。そうなれば、被害者に金銭を支払うケースも出てきます。

しかし、示談が成立していると、原則示談で約束をした金額以上の支払いをする必要はないため、民事裁判に発展する可能性が低くなります。

 

⑸今後のトラブルを防ぐ

風俗トラブルのことを家族や勤務先にバラされたり、バラすぞという脅しのもと金銭を要求されたり、支払いをしたのに何度も金銭を請求されるというケースもよくあります。

被害者の女性、そして風俗店と示談を成立する際にこれらを禁止とする内容を盛り込むことによって、示談後のトラブルを未然に防ぐことができます。

 

5 まとめ

ここまでお話ししてきたように、風俗トラブルにおいて、逮捕されないためには、示談を成立させることが非常に重要です。

もし、犯罪を犯していないとしても、女性スタッフによる事実のない主張により冤罪の可能性がないとも言い切れません。

逮捕されてしまえば、留置署や拘置所に身柄を拘束されることになりますが、冤罪を晴らして、釈放されたとしても家族や勤務先に隠し通すことは難しいです。

それを防ぐためには、弁護士に相談して、逮捕の理由と必要性がないことを警察に明確に証明してもらうのが得策だといえます。

是非一度、風俗トラブルに強い弁護士にご相談ください。

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