電話番号から調査できること
- コラム
風俗店の利用に際して、盗撮や本番行為をしてしまい、トラブルになっているケースは多いですが、その場合にお店から連絡があったり、自宅へ押しかけてきたり家族や勤務先に報告すると脅されたりすることがあります。
風俗店側のそのような脅しは金銭を支払ってもらうことが目的であることが多いですが、電話番号しか知られていないはずなのに住所や勤務先を知られるということはかあるのでしょうか。
電話番号しかバレていないならば、連絡を無視しておけば安心なのでしょうか。
今回の記事では、電話番号から何をどのように調べることができるのかについて解説していきます。
1 電話番号からその他の情報を知る方法
デリヘル(デリバリーヘルス)を利用する場合では、ラブホテルや自宅にデリヘル嬢を呼んでサービスを受けるために、風俗店に電話をするので、電話番号を知られることは避けられません。
しかし、この電話番号で氏名や住所を簡単に調べることができるということを世間的には知られていません。
風俗店を利用した際に、トラブルに巻き込まれてしまうとお客さんの住所や名前、勤務先といった個人情報を調べて、罰金や損害賠償を取り立てられることもあります。
電話番号しか知らないはずのお店側がどのような方法でこれらの個人情報を得ることができているのかというのを説明します。
⑴弁護士照会
弁護士は電話番号から契約者の住所や名前を調査することができます。固定電話だけではなく、携帯電話やPHSでも調査することができます。
もちろん一定の条件があり、100%の特定が保証されるわけではありませんが、法律に基づく照会方法がきちんと設けられておりますので、これを用いてドコモ・AU・ソフトバンク等の携帯電話会社に対して、契約者情報の照会を実施します。
具体的には、弁護士照会制度を利用して携帯会社や電話会社に回線の契約者情報の開示を求めます。
弁護士法23条の2
1.弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2.弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
弁護士法23条の2に基づいて、弁護士が紹介を行うという調査方法です。
①弁護士が弁護士会に対して、携帯電話の契約者情報について回答を求める「紹介申し出」を行います。
②弁護士会は、その内容について具体的な検討と審査を行います。そして、弁護士会は記載内容の補正を指導したり、不適切と判断される申し出について取り下げるよう促すこともあります。
③弁護士会は、紹介申し出に必要性と相当性がありと判断した場合、情報を保有する第三者に対して、任意の回答を求める照会文書を発送します。
④紹介を受けた第三者の回答は、書面で弁護士会に返送されます。照会申出を行った弁護士は、弁護士会経由で回答文書を受領します。
第23条の2照会は、照会を受けた者に、回答や情報開示の義務を課すものではありません。
ただ法律に基づいて弁護士会が実施する照会であるため、公的機関・民間企業を問わず、多くのケースでは重要な情報の開示を得られます。
つまり、弁護士紹介制度とは、弁護士が受任した案件につき必要な情報があるときには、その弁護士が所属する弁護士会を介して、公的か私的団体かを問わずに、その保有する情報を開示するように求めることができる制度です。
これにより、風俗店でトラブルを起こしたお客さんが逃げたとしても、風俗店側がお客さんの電話番号しか知らないはずなのに、弁護士にお客さんに対する損害賠償や慰謝料請求の依頼をすると、弁護士がその携帯電話番号を保有する携帯会社に弁護士紹介をかけて、判明した氏名や住所をもとに郵便を送ったり、訴状が自宅に届いたりすることができるのです。
⑵興信所のデータ
携帯電話番号や固定電話番号から氏名や住所を調べるサービスを提供している興信所や探偵事務所のwebサイトが存在します。
多くの興信所では、電話番号から氏名と住所の調査サービスを行なっているということです。
さらに、電話番号から判明した氏名と住所から勤務先や生年月日、家族構成などの情報の販売も行っているのです。
では、興信所や探偵事務所はどのようにして電話番号から氏名や住所といった個人情報を調べているのかについてですが、データ屋と呼ばれる情報売買業者から購入して、料金を上乗せしているようです。
⑶弁護士ではなく興信所や探偵に依頼することが多い
風俗店がトラブルを起こしたお客さんの情報を割り出す際に利用するのは、上で説明した弁護士に依頼する方法ではなく、ほとんどが興信所や探偵に依頼したデータを利用しているということです。
理由としては、①興信所への依頼と比べて弁護士への依頼費用が高いから、②弁護士を介さない方が多額の金銭を得ることができるからの2つです。
①弁護士は、氏名や住所を調べて報告するためだけに紹介制度を利用することができないため、示談交渉や訴訟の提起をするために個人情報が必要であるという状況が必要になります。
風俗店はトラブルの当事者であるお客さんの個人情報を知るために、賠償請求や示談交渉まで弁護士に依頼するという形になるために、その分弁護活動の費用を払う必要が出てきますので、費用が高くなってしまいます。
②弁護士は、法律に則って適法に対応するため、お客さん側に賠償責任を取らせるためにはある程度の期間が必要になりますし、法外な金額を請求するということもありません。
しかし、悪質な風俗店は興信所や探偵事務所に依頼して得た情報をもとに、会社に押しかけたり、家族にバラすなどの脅迫で法外な金額を捲り上げにいきます。
そして、その不安から風俗店側の要求を受け入れてしまい、被害に遭っている人が多いのが現状です。
2 風俗トラブルで連絡が来た時は
上で説明したように弁護士から連絡が来た場合には、弁護士から弁護士照会制度を利用して、電話番号から氏名や住所を調査してきていると考えられます。
弁護士が弁護士照会制度を利用して氏名や住所を調査することは、法律行為の代理の依頼を受けて、損害賠償や示談交渉を目的としているため、悪用されたり脅される心配はありません。
その目的を達成するために、必要なものだけ電話番号から氏名や住所を調べているだけです。
風俗店が手に入れた住所や勤務先の情報を利用して脅したり、押しかけるつもりであるならば、探偵や興信所に安く依頼すればいいので、弁護士に依頼しているということは法律に従って金銭を請求しようと考えているはずですので、これ以上大きなトラブルに発展する可能性は低いとも考えられます。
まず、弁護士から当事者であるお客さんの氏名や住所を風俗店に伝えることはあるかもしれませんが、弁護士を代理人として依頼している以上、むやみな行動に出ることは弁護士から禁止されます。
このような場合では、お客さんも必要以上に恐れることはなく、弁護士に依頼すれば、弁護士同士で穏便に解決の方向へ進む可能性が高いと言えます。
逆に風俗店側から連絡があった場合には、興信所や探偵事務所に依頼して、名前や住所を調査している可能性もあります。
この連絡に対して、無視を続けていると、郵送で書類が届いたり、自宅まで押しかけられるということもあり得ます。
つまり、電話番号から探偵や興信所に依頼して名前や住所などの個人情報を得ているということなので、弁護士に相談する必要があります。
風俗店側は個人情報入手していますので、そのまま無視を続けると勤務先に嫌がらせをされたり、自宅に押しかけて来られるなど事態が大きくなってしまう恐れがあります。
このよううに、風俗トラブル後の連絡を無視することは、トラブルを悪い方向に導く可能性があります。
探偵や興信所に依頼しているということはお金を支払って、個人情報を得ているということになりますから、逃げ続けてもきっちり金銭を請求できるまで追いかけてくる可能性もあります。
3 風俗トラブルは弁護士に相談する
このような状況になった場合には、風俗店側に電話番号以外の情報を知られる前に適切な対応を行うことが必要です。
連絡を無視せずに、弁護士に相談するなど早めに対応を行わなければ住所や氏名、勤務先を知られてしまう可能性があります。
もし知られてしまった後でも、弁護士による示談交渉で個人情報を悪用せずに、コピーなどを削除するように求めることはできますが、その先の不安が残ってしまうと思います。
そのため、風俗トラブルに巻き込まれってしまった場合には、迅速に対応して事態を最小限に収めるためにできるだけ早く弁護士に相談するべきです。
4 弁護士に相談するメリット
⑴お店側とのやりとりを任せられる
風俗トラブルを起こしてしまうと、何度も連絡がきたり、自宅に押しかけてこられたりすることがあります。
そうなると私生活への悪影響も及ぼしますし、見た目の怖い男性から恐喝のような発言をされるとかなり恐怖心を感じて、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。
このようなやりとりも弁護士へ依頼すれば、直接自分自身でする必要がなくなり、お店側とのやりとりを全て弁護士に任せることができます。
恐怖心や後ろめたさからお店側からの連絡を無視し続けていても、精神的にストレスを与えますし、時間が経つにつれ、穏便に解決することが難しくなります。
⑵適正な示談を結べる
トラブルが起きた際に、裁判によらずに、当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。
自分自身で示談を交渉すれば、トラブルなく解決できるのではないかとお考えの人もいると思いますが、示談内容・示談金額について効果的な示談を結ばなければ、再び金銭を請求されるなど不利な立場になることもあります。
しかし、風俗トラブルを弁護士に依頼することによって、弁護士が当事者に代わって、女性スタッフやお店と示談交渉をしてくれます。
そして、弁護士が示談交渉することによってトラブルの事案や状況によって妥当な示談金額を交渉して、適切な内容で法的に効力のある示談書を作成することができます。
もし、既にお店側が用意した示談書などの書類にサインしてしまっている場合には、事実確認を行い、改めて示談金の減額や今後のトラブルを防止するために交渉します。
お店との話し合いを重ねて相手の同意のもと示談書を締結するため、再要求される事も防止します。
⑶不当な請求を拒否できる
弁護士に依頼すると、風俗トラブルでお店側が金銭などを要求してきた際に、その請求が妥当なものか判断して、場合によっては請求を拒否することができます。
風俗トラブルの当事者はお店ではなく被害者である女性スタッフであり、お店の請求自体が法的には根拠のないケースが多いです。
また、当事者である女性スタッフからの請求があっても、法外な適切ではない慰謝料などを請求された場合には妥当な金額になるように減額を交渉します。
⑷刑事事件になるのを防げる
担当弁護士がご本人に代わってお店側や従業員などと示談交渉を行ったり、警察への働きかけを行ったりすることによって、警察沙汰への発展を防止できる可能性が高まります。
示談交渉を弁護士に依頼すれば、警察に被害届や告訴状を出さないことを条件に加えた示談書を作成します。
そのため、刑事事件になることを防げる可能性が高くなります。
もし、お店や従業員が被害届や告訴状を提出して刑事事件になった場合でも、示談が成立していれば、逮捕や起訴または懲役を免れる可能性が高くなります。
万一に、逮捕されてしまった後でも弁護士に早急に示談交渉を成立してもらうことで、送検もしくは起訴される前に早期釈放される可能性が高くなります。
警察や検察というのは、事件の加害者の処分を決める際に、被害者が加害者に対して、どれだけ強く処分してほしいと思っているのかという被害者の処罰感情を考慮しています。
そのために、すでに示談が成立していれば、逮捕されてしまったとしても、被害者が加害者に対してそれほど強い処罰を望んでいるわけではないと考慮して、釈放が早くなったり、不起訴処分になったりと刑事裁判を回避できる可能性が非常に高くなります。
⑸家族や勤務先にバレない
家族や勤務先に風俗トラブルについて、知られてしまうと信用を落としかねません。
しかし、早い段階で弁護士に依頼すれば、代理人としてお店や女性スタッフに対して、本人やその家族、会社に連絡しないように求めます。
それに違反した場合の違約金や処罰を示談書に盛り込むことによって、外部に漏らすことを防ぎます。
自分自身で警告するよりも弁護士の方が抑止力が高いですし、お店によっては弁護士との交渉ごとに慣れている場合もありますので、訴えられるような行動は取らない可能性が高くなります。
そのため、弁護士に依頼することでお店との交渉を代わりにしてくれ家族や勤務先にバレずに解決できる可能性が高くなります。
5 まとめ
風俗店に電話番号が知られているということは、氏名や住所、そして勤務先や生年月日も調査できる可能性があるということを説明しました。
解説しました通り、風俗店から連絡が来ても無視を続ければなんとかなるというわけではありません。
自宅や勤務先に押しかけてくる可能性はあるということです。
そのような最悪な事態に発展させないために、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
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