盗撮は逮捕されるのか
- コラム
1 風俗・デリヘルでの盗撮も逮捕される可能性がある
風俗・デリヘルでの盗撮行為は、迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、建造物侵入罪として逮捕される可能性があります。
2 迷惑防止条例違反について
迷惑防止条例とは、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持すること」を目的とする各都道府県が定めた条例をいいます。要は、各都道府県が定めた内容の「迷惑行為」を規制することを内容とするルールのことです。
盗撮行為も、当然「迷惑行為」に該当するので、一部の都道府県を除き、迷惑防止条例で規制対象とされています。
大阪府の場合ですと、以下のような規定となっています。
「何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。」(第6条3項)
一 (略)
二 みだりに、姿態を撮影すること。
「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」
一 第六条第一項各号又は第三項第二号の規定に違反して撮影した者
二 (略)
そして、たとえばビジネスホテルやラブホテルも、上記の「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当します。
したがって、デリヘルを自宅やホテルで利用した場合でも、盗撮行為(=「みだりに、姿態を撮影」)を行えば、迷惑防止条例違反として逮捕されるおそれがあります。
3 軽犯罪法違反について
軽犯罪法第1条は「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」とした上で、同条23号において、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」と定めています。
そして、「ひそかにのぞき見た」という行為には、単に目視する場合だけでなく、カメラやスマホなどの機器を用いて盗撮することも含まれると考えられています。
したがって、デリヘルを自宅やホテルで利用した場合でも、盗撮行為(=「ひそかにのぞき見た」)を行えば、軽犯罪法違反として逮捕されるおそれがあります。
4 建造物侵入罪について
刑法130条は、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
上記の「侵入」とは、「住所や建造物などの管理者の意思に反する立ち入り」をいうと考えられていますが、盗撮行為を目的とする立ち入りも当然管理者の意思に反するものといえますし、正当な理由も認められないでしょう。
したがって、ホテルや店舗型風俗店を利用した場合でも、盗撮行為を目的として立ち入り(=正当な理由のない「侵入」)を行えば、建造物侵入罪として逮捕されるおそれがあります。
5 おわりに
以上のとおり、風俗・デリヘルでの盗撮行為は、迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、建造物侵入罪として逮捕される可能性がありますが、実際には、警察が逮捕までするケースは少ないように見受けられます。
とはいえ、仮に逮捕されなかったとしても、在宅事件として捜査が進められ、場合によっては前科がつくおそれはあります。また、盗撮行為は、被撮影者のプライバシー権を侵害するものとして民事上も違法行為に該当するので、お店側から損害賠償請求をされるおそれがあります。
盗撮行為をしてしまってご不安な方は、一度弁護士にご相談してみてください。
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