強制性交等罪とは(強制性交等罪の解説)
- コラム
強制性交等罪とは、暴行または脅迫を用いて被害者の性器・肛門・口腔内に性器を挿入する行為(強姦や強制性交)を罰する刑法第177条~第180条に定められた法律です。以前は、強姦罪とされていましたが、2017年に施行された改正刑法によって、強制性交等罪に変更されました。
では、強制性交等罪は、具体的にどのような内容となっているのでしょうか?今回は、強制性交等罪の概要、旧強姦罪との違いについて解説していきます。
1 強制性交罪とは
⑴強制性交等罪の条文
刑法177条「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」
強制性交等とは,被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行・脅迫を用いて,性交,肛門性交,口腔性交をすることです。
また、被害者が13歳未満の者であれば,暴行や脅迫がなくとも,強制性交等罪が成立します。さらに、相手の同意があったとしても,被害者が13歳未満であれば,強制性交等罪が成立するとしています。
強制性交等については,刑法第177条で規定されており,犯罪の主体・客体ともに性別の区別はなくなりました(なお、被害者が泥酔状態等にあることに乗じて,性交等をする準強制性交等という犯罪もあります。刑法第178条第2項)。
⑵強制性交等罪の構成要件
「暴行」とは、人の身体に対して有形力を行使すること、「脅迫」とは、人の生命、身体等に害を加えると伝えることです。
被害者の年齢・精神状態・健康状態、犯行の時刻や場所、容態等を考慮して、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度かどうかを判断されます。
性交等とは、性交、肛門性交、口腔成功のことを指します。男性のみならず、女性が主体となって他の男性にこれらの行為をさせた場合、男性が男性にこれらの行為をした場合を処罰の対象となります。
⑶強制性交等罪の罰則
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
引用元:刑法 第177条
強制性交等罪の罰則は5年以上の有期懲役とされており、非常に重い罪です。有期懲役の上限は20年です。
なお、執行猶予付き判決を受けるには3年以下の懲役を受けなければなりません。強制性交等罪の懲役の下限は5年ですから、基本的に執行猶予付き判決を受けられない、つまり実刑になります。
2 旧強姦罪との違い
2017年に施行された改正刑法によって、旧強姦罪が強制性交等罪に変更されたポイントを解説します。
⑴女性だけではなく男性も被害者の対象になった
強姦とは、暴力行為によって女性を犯すという意味がありますが、改正で被害者の適用範囲が拡大され、性別は関係ないことなりました。被害者が誰であれ、構成要件に該当する行為があれば、犯罪が成立することになります。
⑵被害の範囲が拡大された
改正前の強姦罪では、男性器が女性器に挿入されることを要件としていました。肛門性交や口腔性交では強姦罪の要件を満たしていないため、強姦罪が成立することはありませんでした。
しかし、暴行または脅迫を用いて性交・肛門性交・口腔性交を行えば、強制性交等罪が成立することになりました。
⑶刑が重くなった
改正前の強姦罪は3年以上20年以下の有期懲役でしたが、強姦罪の悪質性に鑑みて、3年以上という法定刑は軽過ぎるのではないかと指摘されてきたため厳罰化されました。強制性交等罪は5年以上の有期懲役となりました。
執行猶予が付される可能性があるのは、懲役3年以下の場合のため、強制性交等罪で執行猶予を獲得することは、これまで以上に難しくなりました。
⑷被害者の告訴が不要になった
これまでの強姦罪では、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪となっていましたが、非親告罪となり、被害者の告訴なしに起訴できるようになりました。
被害者に告訴という行為を求めるのは、被害者の過度な精神的負担になっているのではないかということで、非親告罪になりました。
3 まとめ
強制性交等は重い性犯罪であり、絶対に行ってはならないものです。しかし、強姦事件など、強制性交等罪に該当する行為をしてしまった方、ご家族が強制性交等罪で逮捕されてしまった方は、早期に弁護士に相談し、弁護活動を始める必要性が大きいと言えます。まずはお気軽にご連絡ください。
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