示談書に宥恕(ゆうじょ)条項を入れる意義
- コラム
風俗店において、本番行為や盗撮行為に及んでしまい、風俗トラブルとなってしまい、警察沙汰にしたくないので、示談で穏便に解決したい、お店から示談金の支払いと示談書へのサインを強要されたというケースがよくあります。
そこで今回は、示談書の締結の際、宥恕条項の必要性についてお話していきます。
1 示談書とは
トラブルが起きた際に、裁判によらずに、当事者が話し合って解決する方法があります。一般的に、こうして当事者による合意で問題を解決することを「示談」と呼びます。
示談とは、トラブルが起きたときに、被害者と加害者が損害賠償金の金額や支払方法を決めるための話し合いのことをいいます。
そして、その示談が成立した際に慰謝料の金額や、今後の取り決めなどが記載され、そうした内容を書面として記録を残します。これを示談書と言います。
2 宥恕(ゆうじょ)条項
宥恕(ゆうじょ)とは、犯罪等の行為を許すことを意味し、実際の示談書には、たとえば「甲は、乙を宥恕し(許し)、乙の刑事処罰を求めない。」というように記載されます。
警察沙汰になる前に、被害者から宥恕を得ることができれば、被害届を出されたり告訴をされることがなく、事件化されないまま解決することができる可能性があります。
また、警察沙汰になった後でも宥恕が得られれば、事件が送検されても検察官において不起訴処分になる可能性があります。
示談が成立したものの起訴された、あるいは起訴後に示談が成立した場合であっても、宥恕文言があれば判決において刑が減軽されることがあり、場合によっては執行猶予判決を得られることもあります。
3 示談書に宥恕(ゆうじょ)条項を入れる意義
宥恕条項を入れると加害者にとって非常に有利になります。
示談は基本的には、私法上の紛争を当事者の合意で解決するもので、簡単に言えば、解決金を合意にして手打ちにするというものです。
民事だけを考えれば、それで良いのですが、刑事事件化してしまうことを考える必要があります。
国家が犯罪行為に対して、刑罰を適用するかどうかという刑事事件の問題は、当事者同士が紛争解決に同意するかどうかという民事事件の問題とは、基本的には別物扱いだからです。
刑事事件への影響を考えた示談では、被害者の許し(宥恕)が重要になってきます。
そのため、示談ができたときに被害者が同意してくれるのであれば、上記の宥恕条項を示談書に入れます。
これにより、被害者が加害者を許したことを書面に残すことができ、加害者にとって有利に働く証拠になります。
4 まとめ
風俗トラブルを起こした際は、速やかな示談の成立と示談書の作成が重要です。示談交渉や示談書の作成は当事者同士でも可能ですが、被害者は加害者と直接会ったり、話したりすることには同意しないケースが多いです。
弁護士に示談交渉をご依頼いただくことで、示談の成立を迅速にに進められ、適正な示談書を作できます。
風俗トラブルに強い弊所へお気軽にご相談ください。
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